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クリンナップ・ステップ(前編) ◆CFbj666Xrw トリエラは緩やかな安息の中で考えていた。 このまま夜を超え、朝を迎え、そして。 (問題は……それからどうするか、か) どう動くか、という意味なら既に決まっている。 このまま朝まで休息を取り、その後は町を出て南下する。 途中で洞窟を調査し、シェルターに着けばそこで解散する。 それから小太郎とタバサは城へ、トリエラは廃墟へと向かう。 更に別れてからも、小太郎側は定期的に携帯電話で連絡を取る。 そうして手がかりを捜す。 仲間を捜し、ジェダに抗う為の手札を集める。 問題はこれだ。 それぞれの捜し人に加えて、誰が仲間として信頼できて、誰が信頼できないのか。 命すら操るジェダを出し抜けるような鍵は、何処に有るのか。 (幸い、私達は参加者について十分な情報を得ている。纏めておいた方が良さそうね) 情報交換は十分に済ませている。 必要ならグラーフアイゼンに確認を取れば良い。電子知能の記録が忘れる事は無いだろう。 トリエラは情報を纏め始めた。 (まずは捜し人についてね) 現在、トリエラ達の捜し人は数多い。 一人はタバサの双子の兄である、レックス。 死者の復活──複雑な感情は有るが実在自体は証明された、をも使いこなす回復能力者。 強靭な魔物達と互角に戦える剣の達人であり、強力な攻撃呪文も使えるという勇者。 無事再会する事が出来れば、タバサを守る大きな力となるだろう。 18時の放送直後、E-4の中央森林地帯でレミリアと戦ったのが最後の目撃証言だ。 タバサが城に居ると予想したのは『見覚えのある建物だから何となく』程度の理由だったが、 考えてみればE-4からF-3の城は極めて近い。案外そこに居るかもしれない。 ただし、アイゼンによると、彼は一時期殺し合いに乗っていたらしい。 人の事は言えないし、改心したならそれを咎めていられる状況ではないが、 だからといって彼が殺し合いに乗っていた事と、それにより誰かを殺したかもしれない事。 それにより誰かの恨みを買っているであろう事を忘れて良いわけではない。 トリエラが、何人もの子供達にとっての仇であるように。 (それでもきっと、タバサはレックスと再会した方が良い。 虚勢を張って心に歪みを抱えてしまうよりは、ずっと) 捜し人の二人目は、タバサの仲間だった蒼星石だ。 タバサを不安がらせたくは無いし、小太郎に余計な罪の意識を背負わせたくも無いが、 正直蒼星石がどう転ぶかは予測がつかない。 タバサと蒼星石は殺し合いの場という苛酷な環境の中で、互いに依存し支えあっていた節が有る。 その相手から突如裏切られた──少なくともそう受け取ったのだ。 タバサは小太郎に支えられたが、蒼星石は一人ぼっちで迷走してしまっている。 (しかも彼女の姉妹達が揃って危険な行動を取っているのも気になるわ) 少なくとも三人を殺した、殺し合いに乗っていたと思われる金糸雀。 夕方の森でも奇妙な爆弾、タバサ曰く爆弾岩によって多くの者を傷つけている。 大怪我をしていたプレセアという少女の死因はこれである可能性が高い。 そしてその際、明らかに異常な様子で目撃されている雛苺。 雛苺が操る奇怪な人形には、真紅と翠星石の首が吊り下げられていたという。 (以前のタバサ達のように、生き返らせる為に死体を持ち運んでいたの? 優勝のご褒美でそれを望んでいるとか……首だけというのは気になるけど) 蒼星石の姉妹の中で一番無垢だったという雛苺までも殺し合いに乗っていた。 この会場の中でも善良だったと見なせるのは、蒼星石の双子の姉の翠星石だけだ。 ジーニアスという少年の過去が浄玻璃の鏡で上映された時、翠星石は彼の仲間として姿を見せている。 ただし、二人の出会いも翠星石による攻撃という形で始まっている。 幸運にも和解できた、翠星石は悪い子ではなかったという結果だけを見るのは容易い。 だが見方を変えれば、これは。 (もしかすると彼女達は、そういう存在なのかもしれない) 彼女達が根っからの悪人であるとかそんな風に見ているわけではない。 例えば精神的に不安定であり、ふとした事で暴力に走ってしまうとか。 それを取り繕う能力に欠けていて、エスカレートしてしまうとか。 事実関係を確かめる慎重性を持たず、考える前に行動してしまうとか。 心が弱くて、甘い選択肢を用意されればそれに縋ってしまうとか。 自分の姉妹達がほんの少しでも傷つく事を、他の全人類の死より重く感じるとか。 そういった性質が積み重ねられているのではないか? 蒼星石達はアリスゲームと呼ばれる、姉妹達で最後の一人になるまで戦う、 いわばこの島の殺し合いと似た戦いを宿命付けて作られたのだという。 彼女達はその戦いを否定していたようだが…… 彼女達の人格は“互いに争いやすいように”作られているのではないか? (……まったく、私が言えた義理じゃないよ) 無理に零した苦笑いは、すぐに翳った。 幾つかはトリエラ自身にも言える事だ。 トリエラには条件付けと呼ばれる洗脳が施されている。 過去の記憶を消され、担当官のヒルシャーに対しては親愛の情を植え付けられている。 殺人への抵抗や罪の意識なども軽減されている。 トリエラのそれは同僚達と比べれば軽いものだが、普通には生きられない自覚は有る。 その人格は人を殺すために形成された。 敵だと認識したならば、トリエラの殺意に揺らぎは無い。 放たれた銃弾が迷う事など有りはしない。 それは条件付けを施された義体の紛れも無い優秀さだろう。 だがこの島には銃《トリエラ》の狙いを付ける人間《ヒルシャー》が居ない。 銃が自分で標的を選んで打ち抜かなければならなくなった。 恐らくその結果が、三人に及ぶ善良な者達の殺害だ。 (私は一体誰に銃口を向ければいいの?) トリエラは銃を撃つ為の存在だ。それを否定する事は存在の否定に等しい。 だけど無闇に誰もかも殺す存在になりたいわけじゃない。 条件付けが施されていても、それと矛盾しない範囲で道徳や倫理観だって持っている。 叶うなら自分が引いた引き金で社会が“より良く”なって欲しい。 なのに足掻いた結果は悪い事ばかりをもたらしている。 (……嫌になるな。本当に) 静かに息を吸って、吐いた。 自虐していても仕方が無い。 逸れた思考を引き戻す。 情報整理を再開する。 捜し人の三人目はシャナ、吉永双葉、三宮紫穂の一行だ。 正確には三組目というべきか。 吉永双葉は怪我人かつ一応は一般人で、小太郎は三宮紫穂に対して気になる事が有るらしい。 出来る事ならどうにか連絡を取りたいところだが、生憎と目的地は島の正反対だ。 その上、中核を為すシャナが問題だった。 むしろトリエラは、明確にシャナを避けた方が良い。 彼女はトリエラを狙っているのだから。 (自動人形は全て破壊する、か。厄介な物を飲ませたみたいね。 私は人形なんかじゃない。でも、相手がそれを聞いてくれるかは別問題だろうな) 包帯を巻いた右肩に左手を当てる。 その下には深い抉り傷が有り、義体の機械的な骨格が覗いていた。 確かにこれを見られれば、ロボットとかそういう誤解をされても仕方がない。 シャナが自動人形を破壊しようとする理由はよく判らなかったが、 話し合えばきっと分かり合えるなんて楽観的な思考はしない方が良いだろう。 その上に一度は誤解で殺しかけた。恨まれていても当然なのだ。 しかしシャナは、それを止めようとしたのび太を見逃している。 (あくまで狙ってくるのは自動人形……ロボットだけって事ね。 なら小太郎とタバサにとっては心強い味方になってくれるはず。 そこに私が居なければ) 理想的な形はトリエラが小太郎達と別れた後に、小太郎達とシャナが再会する事だ。 もちろん何時までも別れて行動出来るわけではないが、この島で長く生きるのは難しい。 嫌な話になるが、この島から生きて逃れる前に片方が脱落していれば、衝突は起きない。 小太郎の仲間と殺し合うよりは、この殺し合いに乗った敵と殺し合う方がまだマシだった。 (リルルにも会えたら警戒を呼びかけたいんだけど……) 捜し人の四組目は、リルル。それとひまわりだ。 彼女達の消息は数時間前のトリエラとレミリアの遭遇時を最後に途絶えている。 まだこの街の何処かに居るのか、それともこの街から逃げ出したのか。 とにかく彼女とシャナが遭遇すれば不味い事になる。 彼女は正真正銘のロボットで、破損している片腕はその事を容易に伝えてしまう。 ひまわりの方は赤ん坊で、誰かの保護が必要不可欠な存在だ。 出来れば迅速に合流したいが、何処に居るのかの見当が付かなかった。 (……ヴィクトリアと太刀川ミミは死体で見つかった) シャナに似た声の少女、ヴィクトリア。 念話で呼ばれて向かった警察署は諸共に破壊されてしまった。 この時は彼女の罠かと思ったが、どうやらレミリアの仕業だったらしい。 そのまま旅館に逃げ延びて、トリエラの仲間達と共にレミリアを迎撃する。 結局は敗北するがその時点では生きていて、ククリの殺害でご褒美を貰った金糸雀を殺害。 現場を目撃した小太郎に誤解されて逃亡し、その後でトリエラに電話を掛けてきた。 恐らくその直後、レミリアに殺害された。 レミリアが所持していたアイゼンからの断片的な情報だ。 すぐ近くには首輪が爆発して死んだような太刀川ミミの死体も確認されたが、詳細は不明。 アイゼンは、ヴィクトリアがレミリアとの戦闘において悪辣な挑発をしているのも聞いていた。 その情報を重ねると、トリエラに最初見せた弱気な声色は完全に演技と見て良い。 更に疑って掛かるなら、太刀川ミミとククリの殺害もヴィクトリアの仕業に思えてくる。 だがレミリアの妹はかつてククリから聞いた情報でも危険人物だったように思えるし、 金糸雀の体が不自然に再生していた、ご褒美で傷を治したのも事実であるらしい。 太刀川ミミも首輪爆破による殺害など参加者にできる筈が無い。 弱気を装う狡猾さを持ってはいるが、あくまで危険人物を狙いだったと見るべきか。 (しかしフランドール・スカーレットの殺害者ね……あんなのの妹をどうやって殺したんだか) ヴィクトリアはレミリアに殺され、全ては闇に包まれてしまった。 (それと、トマも捜さないと) 早くに再会しても彼が答えを見つけていない可能性は高いが、何れまた会いたい。 『首輪』からどうやって逃れるのか。『島』からどうやって逃げ出すのか。 彼はこの『宿題』の答えを見つけられただろうか。 時間にすればまだ丸一日も経過していない。 それなのにもう、猶予は無いのだ。 最初の放送で呼ばれた死者の数は37名。 更に少なくとも金糸雀、ククリ、太刀川ミミ、野比のび太、レベッカ宮本、ヴィクトリアの六人が死んだ。 残る人数は最大に見ても43人。確実に半数を切った事になる。 レックス、蒼星石、シャナ、リルル、ひまわり、トマ……この捜し人もどれだけ生きて再会できるか。 この島はあまりにも過酷だ。 (後は小太郎の捜し人が……たくさんだ。 学校に居た者達は木之本桜、高町なのは、ヴィータ、アリサを捜している。 それから……多いな。名簿で纏めた方が良いか) トリエラは名簿を開いた。 01 ×明石薫/02 アリサ・バニングス/03 アルルゥ/04 イエロー・デ・トキワグローブ/05 ×イシドロ/ 06 ×泉光子郎/07 ×磯野カツオ/08 一休さん/09 ×猪名寺乱太郎/10 犬上小太郎/ 11 ×イリヤスフィール・フォン・アインツベルン/12 インデックス/13 イヴ/14 エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル/15 ×江戸川コナン/ 16 ×神楽/17 ×金糸雀/18 ×城戸丈/19 木之本桜/20 キルア/ 21 ×ククリ/22 グリーン/23 グレーテル/24 ×小岩井よつば/25 ×剛田武/ 26 ×ゴン/27 ×才賀勝/28 ×サトシ/29 三宮紫穂/30 シャナ/ 31 ×ジーニアス・セイジ/32 ×ジュジュ・クー・シュナムル/33 白レン/34 ×真紅/35 ×翠星石/ 36 鈴木みか/37 ×摂津のきり丸/38 蒼星石/39 高町なのは/40 ×太刀川ミミ/ 41 タバサ/42 トマ/43 トリエラ/44 ×永沢君男/45 ニア/ 46 ニケ/47 ×ネギ・スプリングフィールド/48 ×ネス/49 野上葵/50 ×野原しんのすけ/ 51 野原ひまわり/52 ×野比のび太/53 ×灰原哀/54 パタリロ=ド=マリネール8世/55 雛苺/ 56 ×ビュティ/57 ×フェイト・テスタロッサ/58 ×福富しんべヱ/59 ×藤木茂/60 ふみこ・オゼット・ヴァンシュタイン/ 61 ×フランドール・スカーレット/62 ブルー/63 古手梨花/64 ×プレセア・コンバティール/65 ×ヘンゼル/ 66 ベルカナ=ライザナーザ/67 ベルフラウ=マルティーニ/68 南千秋/69 ×美浜ちよ/70 明神弥彦/ 71 メロ/72 ×八神太一/73 ×八神はやて/74 吉永双葉/75 李小狼/ 76 ×リディア/77 梨々=ハミルトン/78 リルル/79 リンク/80 レックス/ 81 ×レッド/82 レベッカ宮本/83 レミリア・スカーレット/84 ×レン/85 ヴィータ/ 86 ×ヴィクトリア=パワード/+:リリス/*:Q-Bee 追加参加者のリリスと、それからQ-Beeについてもここで考えておく。 ×を付けてあるのは現時点で判明している死亡者だ。 とりあえずは除外して考える。 02 アリサ・バニングス/03 アルルゥ/04 イエロー・デ・トキワグローブ/ 08 一休さん/10 犬上小太郎/ 12 インデックス/13 イヴ/14 エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル/ 19 木之本桜/20 キルア/ 22 グリーン/23 グレーテル/ 29 三宮紫穂/30 シャナ/ 33 白レン/ 36 鈴木みか/38 蒼星石/39 高町なのは/40 ×太刀川ミミ/ 41 タバサ/42 トマ/43 トリエラ/45 ニア/ 46 ニケ/49 野上葵/ 51 野原ひまわり/54 パタリロ=ド=マリネール8世/55 雛苺/ 60 ふみこ・オゼット・ヴァンシュタイン/ 62 ブルー/63 古手梨花/ 66 ベルカナ=ライザナーザ/67 ベルフラウ=マルティーニ/68 南千秋/70 明神弥彦/ 71 メロ/74 吉永双葉/75 李小狼/ 77 梨々=ハミルトン/78 リルル/79 リンク/80 レックス/ 83 レミリア・スカーレット/85 ヴィータ/ +:リリス/*:Q-Bee ここから自分達一行、それからこの島で確認された時に割合友好的だった人物に◎を。 この島に連れてこられる前の仲間や又聞きなど情報は少ないが友好的と思われる人物に○を。 危険人物に△、判別しかねる人物に□、情報の全く無い人物に?を付けて、纏め直す。 02 ○アリサ・バニングス/03 ◎アルルゥ/04 □イエロー・デ・トキワグローブ/ 08 □一休さん/10 ◎犬上小太郎/12 ○インデックス/13 □イヴ/ 14 ○エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル/19 ◎木之本桜/20 ?キルア/ 22 △グリーン/23 △グレーテル/29 □三宮紫穂/30 □シャナ/ 33 □白レン/ 36 ?鈴木みか/38 □蒼星石/39 □高町なのは/41 ◎タバサ/42 ◎トマ/ 43 ◎トリエラ/45 ?ニア/ 46 ◎ニケ/49 ?野上葵/51 ◎野原ひまわり/ 54 ?パタリロ=ド=マリネール8世/55 △雛苺/60 ?ふみこ・オゼット・ヴァンシュタイン/ 62 △ブルー/63 ◎古手梨花/66 ?ベルカナ=ライザナーザ/ 67 ◎ベルフラウ=マルティーニ/68 ?南千秋/70 ?明神弥彦/71 ?メロ/ 74 ◎吉永双葉/75 ◎李小狼/77 ◎梨々=ハミルトン/78 ◎リルル/ 79 ◎リンク/80 ◎レックス/ 83 △レミリア・スカーレット/85 △ヴィータ/ +:△リリス/*:Q-Bee まずアリサ・バニングスは、グラーフアイゼン曰く主人達の友人らしい。 同じ世界から来た他の者達と違って魔法は使えないそうだ。 彼女の情報はこれだけとなる。出来れば保護したい所だ。 アルルゥは朝にトマを襲ったらしい、獣耳の少女だ。 支給された謎の石から二種類の奇妙な生物を呼び出す事が出来るようだ。 トリエラが目撃した時は、森に隠れてやり過ごした。 その後のアイゼンから得られた情報が重要で、愛らしい子供像しか出てこない。 どうやら幼い無邪気さから抵抗無く殺し合いに乗ったが、すぐに改心したという事らしい。 放送直後、中央の森でレックスと交戦し片腕を切り落とされるものの、回復呪文により生存。 恐らくはレックスに同行しているものと思われる。 (それにしても、一時期は殺し合いに乗っていた人間が二人か。ある意味で危険だわ) 例え二人が善人でも、どれだけ敵が居るのか判ったものではない。 タバサには『レックスと合流できても警戒が必要』と伝えておくべきかもしれない。 次にイエロー・デ・トキワグローブ。 リルルの仲間だ。彼女の話からは極めて温厚な様子が見て取れた。 しかしトリエラは、イエローが和解した少年を殺害してしまっている。 相手からは危険人物と思われた恐れがある。 また、森では危険人物金糸雀に協力している。 金糸雀に乗せられていた可能性も高いが、色々と吹き込まれているかもしれない。 更にイエローと名前の法則性がある、後述のブルーとグリーンが危険人物である事も気になる。 もしかすると蒼星石や姉妹と同じように危険な法則がある可能性も──。 トリエラは、息を吐いた。 (いけないな、また考えすぎてる。法則だって本当に有るのか判らないんだ。 それに苗字らしき物まで付いてるし、別の生まれの可能性も高い) もしかしたらの上に仮説を積み立てるなど、推測ではなく憶測の域に入っている。 気を取り直して整理を続ける。 一休さん。 どうやら中央の学校で目撃された、東洋の聖職者風……の少年の名らしい。 小太郎を経由して吉永双葉曰く、ブルーは学校で彼に襲われたと言って逃げてきたらしい。 しかし結局はブルーこそ危険人物だった。 よって疑いは晴れ、ない。 更にその後、学校に居た者達の証言で本当に変態小僧だった事が判明したからである。 謎の幻術も使いこなす油断ならない人物だ。 学校も彼の放火により焼け落ちたという。 (……って、忘れてた。まず死んだだろうという勢いで殴り飛ばしたって言ってたわね。 死体を確認する余裕は無かったみたいだけど、こいつも死亡者の方に入れておこう) 生前の人物像、こんな島で奇行に走った精神性は奇怪だったが、推定死人の一人だ。 今更掘り返す事でも無いだろう。 犬上小太郎。今、側で寝ている。 彼とグラーフアイゼンからもたらされた情報は莫大な物だった。 信頼できる仲間で、心配するような事は特に無い。 よってここでわざわざ情報を纏める必要も無い。 インデックス。 小太郎を経由して高町なのは曰く、昼に山脈部から中央部へと移動していた一行の一人。 小太郎の曖昧な記憶によれば、少なくとも危険人物ではないようだった。 イヴ。 小太郎を経由して三宮紫穂曰く、ブルーとグルだった推定危険人物。 ただし、小太郎は情報源の紫穂について気になる事が有る様子だった。 確証は無いと念を押していたが、少なくとも口に出す程度には何かが有る。 とはいえ、それでも危険人物と見て間違いは無いだろう。 エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル。 犬上小太郎曰く、吸血鬼でライバルの師匠。 一時期多額の賞金を掛けられていた大物であり、善人とは言えないが、 覚悟して向かって来ない限り女子供は殺さないという誓いを立てているらしい。 つまりこの島においては、基本的に自分から手を出さないというのと同意義だ。 リリスに敗北して重傷を負ったらしいが、一命は取り留め、仲間達と共に中央部に移動予定。 (吸血鬼。どうも別世界って事みたいだけど、あのレミリアと同じ種族なわけか。 協力してもらえたら心強いんだけど……ほんと、ファンタジーね) 色々な意味で。 次は木之本桜。李小狼の捜し人。 アイゼンにより、昼間の中央森大規模戦闘で目撃されている。 時間的に、小狼達学校の一同が一人でも東に行けば合流出来ていた可能性は十分有る。 それに気づいた時、小太郎は随分と歯噛みしていた。 よりによって四分の一の外れを引いてしまったのだから、無理も無い。 (運が悪いとしか言いようが無いよ。 まさか四方の内の三方を選んで、残り一方に居るなんて思わないもの) とはいえ四分の一を引いただけとも言える。 別な方向には他の捜し人も居たのだから、落ち込みすぎるのもよくないだろう。 木之本桜は、危険人物イリヤスフィールに唆されていたものの無事判りあえたらしい。 性格自体は極めて善良という事だ。出来れば接触したい。 また、アイゼンによるとまだ計画段階で未完成だったはずのデバイスを所持していたという。 支給品と思われるが、何故そんな物が存在しているのかは奇妙な話だった。 グリーン。リリスと共にタバサ達を襲った人物。 高い戦場指揮能力を持っているようだ。 問題は彼が何故リリスと共闘していた、それどころか指揮していたのかだ。 彼は息の合った的確な指示を出し、リリスを使いこなしていたらしい。 また、タバサと蒼星石を経由したのび太曰く、グリーンがそんな事をするわけはない。 身を挺してのび太とひまわりをリリスから逃してくれた人で、 きっと操られていたのだと言い張っていたらしい。 (でも操られてリリスを指揮しているというのは明らかにおかしい。 のび太を逃してリリスと対峙した時、何が起きたの?) 気になる人物だが、今は保留しておく。 グレーテル。 この名は小太郎のうろ覚えな記憶に沈んでいた。 学校に居た小狼とリンクによると、襲撃してきた銀髪の少年が自分をヘンゼルと呼び、 双子の姉のグレーテルがどうとか言っていたのだそうだ。 情報を整理したところでようやく、小太郎は廃病院で現れた銀髪の少女の名に気が付いた。 遅いと思うが、他に山ほど問題が山積していたのだから仕方が無いとも言える。 この銀髪の危険人物は廃病院で小太郎とシャナを襲撃し、撃退されて姿を消した。 白レン。タバサの仲間だった少女。 リリスとグリーンが襲撃してきて謎の武器で子豚にされた際に、 タバサ達を手駒のように言って、一人だけ逃げ出したらしい。 動物の言葉を理解できるタバサはそれを聞けたという事だ。 危険人物まで行かないにしても、人を利用する人間には違いないのだろう。 高町なのは。極めて判断しがたい人物。 殺し合いに乗っていた親友の腕を破壊して止め、 襲ってきた殺人鬼を撃退する為に已む無くとはいえ罪の無い他の者ごと焼き払い、 一人を生かすために死の選択を突きつける、冷酷なまでに合理的な人物。 犬上小太郎は、今から思えばあれは強がりだったのだろうと補足している。 ただしそれは、彼女がそうでなかった場合より安全である事を意味しない。 (割り切ってそれをしてる方が理解はしやすいのよね。嫌な話だけど。 精神的に参ってるって事は、逆に暴走する危険も大きいって事だし) これまで纏めてきた中では蒼星石や、今は安定したもののタバサがこれに近い分類だ。 基本的に悪人では無いはずだが、精神不安定によりどう転ぶか判らない。 廃病院に向かった為、時間帯から見てもトリエラ遭遇前後のシャナ一行と会っているかもしれない。 それ以上はやはり予測不能だ。 タバサ。今、側で寝ている。 信頼できる仲間だが、精神的な弱さは気になる所だ。 とはいえ、少し前に探りを入れてみたところ復活の実演放送後も安定しているようだった。 彼女の虚勢を崩した犬上小太郎も、その虚勢に代わって彼女を支えてくれるはずだ。 戦闘面の能力は高く、心配しすぎる程でも無いだろう。 トリエラ。自分自身。 三人もの、恐らくは善良な少年達を誤殺した少女。 (客観的に見るなら危険人物ね。どう見ても) 寸でのところで制止されていなければシャナも加わって四人になっていた。 現代戦争における戦死者は二割以上が誤射によるとはいえ、全て誤殺は流石に酷い。 これがただの間違いで私は良い人ですと主張するのは勝手だが、 正直トリエラは、自分と同じような者が居たら真っ先に故意を疑う。 次に早とちりしてすぐに殺人に移る危険人物。あるいは人を見る目が無い人間。 これは否定しきれない為、少し辛い。 イエローを襲っていた少年は十分に疑う理由の有る情景だったし、 学校裏で遭遇したネギも誰かを殺そうとしていた意味では間違いないし、 のび太の殺害も状況が切羽詰っていたという理由は、有るが。 (最初の少年は、あくまで性的な危険なら警告から始めても良かった。 ネギも追われている人形の方を疑ってみる余地は有ったはず。 のび太だって……あの場面を招く前に、どうにか出来ていれば) 疑いの上に疑いを乗せていって、固めてしまった。 本当にこれで撃つべき時に撃ち、止まるべき時に止まれるのだろうか。 トリエラという人格の迷いと、条件付けの機械的な有用性が鬩ぎ合う中で。 (……情報の整理を進めよう) ニケ。トマの言う勇者様。 詳細は判らないが、同じく勇者であるタバサの兄のレックスは強大な力を持っている。 もしかすると彼も相当な実力者の可能性がある。 インデックスやエヴァと共に、山脈部から中央部へと向かっているはずだ。 雛苺。蒼星石の妹。 明らかに常軌を逸した様子で中央森に現れた危険人物。 真紅と翠星石の首を下げた、南瓜お化けの人形を操っていたという。 レミリアに襲撃を掛けて返り討ちにされたようだが、放送時点で生存が確認されている。 ブルー。危険人物。 廃病院にいた者達を掻き回し、一人に重傷を与えたと目される。 小太郎の世界の秘薬により、大人の姿と子供の姿を使い分けているようだ。 イヴと共に廃病院から離れ、その後は消息不明。 古手梨花。学校にいた者達の一人。 後述のリンクと共に学校から西へ向かった。 基本的に一般人のはずだが、精神的には落ち着いている様子だったらしい。 ベルフラウ=マルティーニ。 木之本桜と同行していた少女。支給品らしきカードにより炎の魔法を使えるらしい。 やはり善良な人間だったと見ていいか。やや落ち着いた印象。 李小狼。学校にいた者達の一人。 魔法とかそういう物の知識もあるが剣術もできる人間らしい。 木之本桜を捜しているのだが、現在は南西の市街地へと向かってしまった。 梨々=ハミルトン。吉永双葉の親友。 アイゼンにより中央の森で目撃されている。 つくづく中央森林部には縁の濃い者が多かったらしい。 ジーニアス・セイジ、プレセア・コンバティール、アルルゥと敵対していた。 アルルゥを取り押さえる場面が最後の目撃情報だ。 しかしその後、放送より前にアルルゥだけが別に目撃されている。 彼女と和解したのか、それともアルルゥが上手く逃げたのかは不明だ。 (裏を返せば、アルルゥ以外にとっての危険人物ではないはず) イリヤに丸め込まれていたとはいえ、それにより敵視していた ジーニアスとプレセアは死んでしまった以上、関係が無い。 よってアルルゥと同時に遭遇しなければ善良な人物と見て良い、筈だ。 イリヤスフィールのような集団の中の危険人物である可能性も無いではないが。 リンク。学校にいた者達の一人。 古手梨花と共に西へ向かった。 近接系の戦闘技術を持ち、機械知識は無いが道具の扱いには長けるらしい。 吸血鬼レミリア・スカーレット。 身近な上、間違いなく最悪の危険人物。 (まだこの街に居るのかどうか、それが問題ね) アイゼンから詳しく聞きだした話を元にすると、意外にも憎めない人物(?)だ。 彼女が味方したプレセアとアルルゥも、元は危険だが改心していた。 プレセアに至っては彼女が改心させたとも取れる程だ。 更に放送直前の森で戦った時も、アイゼンから見れば陰湿に見えたようだが、 味方を巻き込まないよう割合慎重に戦っていたらしい。 そういった行動も妹の死が判明する夕方までだったが。 結局のところ、レベッカ宮本の命を懸けた指摘が正しかったのだろう。 レベッカ宮本。ジーニアス・セイジの仲間。現生存者ではアルルゥの仲間。 彼女はレミリアが虚勢を張っている、妹の死が原因で暴走していると指摘した。 それにより激しく動揺したレミリアは、レベッカの血を吸って、殺した。 (強がりね。本当に何もかも) この島の大地を自らの強さだけで踏み締められる者はいるのだろうか。 何もかも失われていく中で、その強さを保ち続けられる者はいるのだろうか。 とかくその後のレミリアの暴走は留まる所を知らない。 最強の証明を謳い文句に、目に付く端から襲い掛かった。 仲間だったアルルゥをも殺そうとし、レックスを叩きのめし、中央森林部を後にした。 この市街地に辿り着き、警察署を攻撃し、ヴィクトリアを襲い、 その戦いは旅館にまで縺れ込み、小太郎達を圧倒し、旅館はアイゼンの魔法で壊滅した。 ヴィクトリアを殺害し、QBとも戦った。 殺し合いの管理者達もレミリアにとっては敵であるらしい。 トリエラ達にとってはありがたいが、その戦闘力は脅威だった。 上空で繰り広げられていた戦闘は最早桁が違う。 こうなるとトリエラが遭遇した時に逃げ切れた事すら奇跡に思えてくる。 その経緯に共感や同情を抱いている余裕など無い。 遭遇すれば逃げの一手だ。 そう決めておいた方が良いだろう。 ヴィータ。グラーフアイゼンの本来のマスター。 悪い事に、主である八神はやてを守るため殺し合いに乗っていたらしい。 その為、仲間である高町なのはによって両腕を焼かれた。 現在はインデックスとニケに捕縛されたまま中央部に移動中のはずだ。 (無力化されたって事だけど、危険人物には入れておかないとね) 腕を焼くという判断は冷酷だが、殺さなかったのはやはり情が有るからか。 元の世界では、そういう選択が出来る人間でさえ友情を抱ける人間だったのだろう。 それはつまり、そういう人物であるヴィータが凶行に走る程、 八神はやての存在が彼女にとって不可侵の存在であった事を意味する。 そんな主の名が放送で呼ばれた。 彼女がどうなるかは想像できない。 だが彼女がどう想うかは、トリエラなら容易に想像できるだろう。 (私にとってはそう、ヒルシャーさんが殺されたと想像すれ……ば…………っ) 洗面所で口を濯いでいた。 少し前に、気を落ち着ける為に水をよく飲んでいた反動か。 ……少しだけ、吐いた。 胸元でアイゼンの明滅が見えた。 そっと答える。大丈夫だと。 義体である自分の精神の不安定さを再認識すると共に、他人事のように呆れてしまう。 予想以上に心が弱っていたらしい。 確かに条件付けの設定からすれば不味いところに触れたとはいえ、思ったより反応が激しい。 湧き上がる望郷の念、というより一人の成人男性の顔を、今は抑え込む。 一息を吐いてから、アイゼンに聞いた。 「似た感じだと思う?」 少しの間、アイゼンは輝きを消した。 それから。 しばらくして、肯定の意が返った。 トリエラはそれを受けて、答えた。 「アイゼン。あなたのマスター、多分もう退けないわよ」 やはり少しの沈黙の後で、予想は出来ていたと返答があった。 もしもヴィータが腕を取り戻したら、そこに残るのは危険人物が一人だけだ。 ヴィータの腕は、戻らないのが正しい。 アイゼンは誇り高いマスターを失ったのだ。 トリエラは息を落ち着けて、残りの考察対象について考える。 リリス。主催側からの唯一の参加者。 これだけでも謎は多いのに、彼女は島でグリーンと手を組んでいる。 つまり話は出来るという事なのだろうか。 気になるのが神社で交わされたネギ・スプリングフィールドと江戸川コナンとの約束だ。 夕方の六時までに島南西端のタワーで再会し、集めた首輪の数が多い方に従うという競争。 小太郎は学校に居た者達と情報を交換した際、 その約束が急場を逃れる為の一時しのぎの言いくるめだったと聞いている。 (三宮紫穂の事もその時に聞いておけば良かったのに) リリスとは別の話だが、この時、紫穂について聞いておかなかったのは失敗だろう。 李小狼という少年はその辺りの内実を知っていた可能性も有るのだが、 ネギとリリスのそれが口約束だったと聞いて安心し、確認までを怠ってしまったらしい。 (それはそうと、リリスね。随分と気になる事が多いんだ、こいつは) 小太郎を経由して高町なのは曰く、朝方に山脈部に現れエヴァに重傷を負わせるも撃退。 その際、ネギとコナンを家来にしているとの発言有り。 小太郎を経由して三宮紫穂曰く、リリスと約束を結んだネギとコナンに襲われた。 小太郎を経由して李小狼曰く、ネギとコナンはリリスと競争の口約束を結んだ。 ネギは悲鳴を上げる金糸雀を追撃していたが、金糸雀が危険人物であった事を鑑みると、 金糸雀の危険性に気づいて追跡していた可能性も有る。 (この部分では李小狼と三宮紫穂の証言も食い違っている。本当にネギが競争に乗っていたの? 小太郎の、ネギの性格上有り得ないという発言を信じるなら、何か不思議な能力でも持っていたの? 例えば……人を操るような) タバサと蒼星石を経由してのび太曰く、グリーンは操られていたに違いないという。 確かにそういう能力を持っていたとすればグリーンの説明は付く……だろうか? タバサ曰く、リリスはグリーンの指揮を受けて息の有った攻撃を仕掛けてきたという。 操って自分を指揮させるというのは奇妙な話だ。 やはり、判らない。 ネギは本当に競争に乗ったのか? 紫穂の証言の方が怪しいのではないか? そうだとすれば、リリスとグリーンはどうして手を組んでいた? (グリーンは優勝を狙うために自分からリリスに取り入った……赤ん坊を庇うような少年が? 信頼を得て取り入るためのポーズだったと考える事も出来るけど。 あるいは、リリスをコントロールしようとしたの? でもそれなら、どうしてリリスを指揮して襲ってくる) 神社で交わされた約束。 赤ん坊を逃したグリーンの突然の翻心。 情報は有っても予測が付かない。繋がらない。 グリーンとリリスの間に何が起きたのかは、トリエラにとって想像の埒外だった。 それから参加者ではないが、QBについて。 トリエラはもう何度もQBに遭遇している。 最初の会場の時に加えて、タバサと蒼星石の誤解を解く為に情報を求めたのだ。 更にその後、レミリアと空中戦を繰り広げているところを目撃している。 アイゼンによると、レミリアから喧嘩を売ったらしい。 つまり喧嘩を売れば買う程度の攻撃性は持っているのだ。 (ご褒美の為に呼んでも、慎重に対応する必要があるわね) 戦いの結果、QBは殺害され零時の放送でジェダに蘇生された。 しかしアイゼンに聞いた戦いの様子は、トリエラ達の予想を裏切っていた。 QBは、あのレミリアに対して終始優勢に戦いを進める程の実力を秘めていたのだ。 アイゼンを握る腕が切り落とされた拍子に吹き飛ばされ見失ってしまったが、 レミリアの受けた傷は人間なら確実に死んでいる程の重傷だったという。 そこからレミリアが逆転した事は驚嘆すべき事だが、 トリエラ達に同じ芸当が出来るとは到底思えなかった。 (万が一戦いになれば……勝てないな) そもそもレミリアの強さは夜でしかも満月だったとはいえ尋常な物ではない。 トリエラが逃げ延びれた事すら奇跡に思える。 何せ犬上小太郎、ククリ、リルル、ヴィクトリア、金糸雀の五人がかりで戦って、 倒すどころか傷一つ付けられずに押されていたのだ。 その中でも小太郎は文句無しの実力者だ。 人と人でないもののハーフならではの高い身体能力に、極めて高い格闘能力。 気の達人にして、犬神使い。実戦により磨き抜かれた戦闘感覚。 ネギの使っていた瞬動術という超高速移動技術も、小太郎の方が以前から使えたらしい。 小太郎以外のククリ、リルル、ヴィクトリア、金糸雀の実力だって低くない。 レミリアは一人でそれらを押していた。 アイゼンに過去の戦いを聞いてみても、レミリアの命中打は限られる。 金糸雀の爆弾岩による回避不能な大爆発で相当な重傷を受けたものの、 その重態で対アルルゥ&レベッカ、対レックスの連戦に勝利している。 後一撃を受ければ死ぬだろうというギリギリで、全て避けて打ちのめしたのだという。 桁外れの強さだ。 そのレミリアが、殆ど一方的にやられていた。 レミリアが勝利したのは、勝負強さで辛うじて逆転したという事らしい。 しかもQBは多くの同族を従えている。 最初の会場で見たQBそっくりの蜂女達。 多少は劣るにしても、もしもあれらがQBに近い身体能力を持っているとしたら……。 (……この位にしておこう) トリエラは背筋に冷たいものを感じながら、情報の整理を終えた 他に最初の会場で殺された女性、ご褒美システムを提案した太っちょの少年なども居るが、 あの二人の名前は判っていない。 裏を返せば情報の無い生存者は僅かに9名(10名の内、1人は最初の会場で死んでいる)。 残り生存者最大で43名中34名、8割方の情報を多少なりとも得ているわけだ。 (多分、私達はこの島で一番他の参加者の情報を掴んでいる) これから向かうエリアは残り2割が居ると思われる、多少の過疎が予想されるエリアとなる。 大方全体の分布を掴む事が出来るだろう。 それから……どうするのだろう? 「………………」 この殺し合いの島からどう逃れる? 集めるべき仲間が判り、それと連絡が取れたとしても、どうやって? トリエラにはそれ以上先へ届く手札が無い。 胸ポケットの中で、携帯が震えた。 NEXT
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■小太郎×氏政(♀)の続き(小田原城を奪還した後のお話)です。 ■小太郎は相変わらずSです。 ■真田主従もちょっと出てきます。 ■エロありなので、駄目な方はスルーお願いします。 「約束は守ったからな。んじゃな!」 迷彩柄の忍装束に身を包んだ気さくな忍は、そういい残して颯爽と駆けていった。 その忍から何かを受け取った、鉢金で顔を隠した忍は、その忍とは反対の方向へ駆けて行った。 ――それは、もう一月も前の話だ。 その時は、まだ「それ」を使う日が来ようなどとは、露ほども思っていなかった。 今は冬。小田原城名物の満開の桜もこの時ばかりは散っている。 桃色が乗っていない小田原城の桜の木の羅列は、なんともさびしい風景だった。 小田原城の女城主・北条氏政は、ぼんやりと夜空を眺めていた。 小太郎のおかげで、何とか小田原城は北条の手に戻った。 件の戦で得た資金を元に、腕の立つ兵を雇い入れ、どうにか体裁を取り繕う事に成功した。 これもひとえに、小太郎のおかげだと、氏政は内心感謝していた。 小太郎とは、あの一夜っきり、肌を重ねていない。 別に、不仲だからという訳ではない 小田原城が北条に戻ってから、氏政は何となく小太郎を避けていたのだ。 あの夜、幾度となく膣内に小太郎の精を受けた。 ――子を孕んでしまったらどうしよう。 月のものが来るまで、気が気ではなかった。 あの時は、元々死ぬつもりであったから「孕んだらどうしよう」などという考えは思い浮かばなかった。 日が経つにつれ、自分の命はまだまだ続いていくのだと自覚した時、それはとてつもない不安となって圧し掛かってきた。 果たして自分が子を宿せる身体なのかは定かではないが、とにかく子を孕むのが怖かった。 今回の事で、子が要らぬのなら、ああいう真似はするべきではないと、つくづく思い知らされた。 今が多忙な時期だからか、小太郎は求めてこない。 「自分に飽きてしまったのだろうか」とも思ったが、それはそれで好都合だとも思う。 嫁の貰い手もなかった出来損ないのわしじゃ。 これからも縁などなかろう。 …一度くらいの間違いがあっても、何の問題もない。 小太郎との事は、そう思う事にしていた。 巨大な門の上に、腕を組んで佇み、遠くを眺める小太郎の姿があった。 今夜も冷え込む。あの時の様に…。 ちらりと白い物が視界を掠めた気がして、空を見上げると、こんこんと雪が降ってきた。 儚げな白い雪に、氏政の面影を見つける。 …そういえば、あの人は今どうしているだろう。 昼間は普通に顔を合わせているが、人目がある為なのか、何処か自分への態度が余所余所しかった。 妙な噂が立っては主君として家臣達に示しがつかぬからと、斯様な態度を取っているのかとも思ったが、どうも違う気がする。 あの日以来、一度も氏政を抱いていない。 確かに北条家再興のためにしなければいけない事が山積みで多忙ではあったが、小太郎にとっては苦にもならなかった。 豊臣を討ち、小田原城を取り戻し、北条軍の整備が一段落つくまでは城の警備を怠ってはいけないと、自ら監視役をしていた。 …その為、なかなか氏政の閨にいく事もままならない。 だが、最近では「伝説の忍」に恐れをなして、小田原城に忍び込む者は殆どいない。 小田原には風魔衆の中でも選りすぐりの手だればかりを呼び寄せている。 見張りの兵は他にも大勢いる。その兵さえも、腕の確かな者ばかりだ。 ――今夜あたり、氏政の閨に忍び込もうか、と思っている。 あの、触れれば吸い付くような、艶かしく清らかな白い肌が忘れられない。 まるで何かの禁断症状のようだ。無性に恋しい。 あれから半月経つが、もうこれ以上待てそうにもない。 たった一夜だけの交わりで、小太郎は氏政にすっかり溺れきっていた。 元々女に免疫がなかったとはいえ、小太郎も忍である。 何の術も持たぬ生娘に溺れてしまうなど、失態もいい所だ。 …けれども、小太郎はそれを恥だとは思っていない。 何が楽しいでも、面白いでもなく生きてきた小太郎には、そんな感情を知る術はない。 だからなのか、一度芽生えた欲望を抑える事もできなかった。 吼えぬ孤狼その後2
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羅刹の剣 飛葉小太郎の幼なじみの侍で、小泉流居合いの達人。小太郎とは共に修行した仲で、今では抹那藩一の使い手として知られる。まじめな性格だったが、小太郎に対するライバル心から反魂蟲に頼り、魔人に変貌。小太郎に挑むが敗れて正気に戻り、桐生玄堂の野望を告げ落命した。
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幻影(後編) ◆wlyXYPQOyA タバサの提案からしばらく時は経って……俺らは街を西へと進んどった。 この俺、犬上小太郎の左隣には棺桶を引き摺るタバサと待機状態とやらのバルディッシュが。 右隣の方には蒼星石が不満そうに歩いている。なんかこんな顔ばっかりや、こいつ。 ――なんでこんな事になっとんのか。俺は独り回想を始めた。 「た、タバサ? どうしてなんだい?」 「レックスが生きてるってわかったけど、今安全かどうかわからないじゃない」 「いや、それは僕が夢の扉を開けば……」 「ここにレックスがいないのはわかったんだから、すぐ移動するべきだよ」 「でもこんなしっかりした家があるのに……それに休憩したいって言ったじゃないか」 「休憩は街の外でも出来るわ。それに私にはわかる。レックスはきっと今も起きてるよ」 「……いつ寝てるんだ、君のお兄さんは」 ほっかほかのタバサは風呂場から現れるや否や、蒼星石と議論し始めよった。 要約したら「レックスが心配や。兄のためにも出発した方が良い」って事らしい。 蒼星石の方は「夢の扉を開いたら良い」とか「肉体的に無理をするな」とか言って引きとめようとする。 でも残念ながら――やっぱりなのはと同じや。一度言うた事を全ッ然曲げへんかった。 蒼星石は気づいてへんやろうけど……タバサは無理を道理で通そうとしとる。止めるのは無理や。 やけど蒼星石も引かんかった。トリエラは何も言わん。当人で解決せえやって言うみたいに静観しとる。 「タバサ、お前にはお前の考えがあるんやな? 人に迷惑かけようとか、そんなんちゃうよな?」 「うん」 「小太郎君!」 泥沼になりそうな気配を察して、仕方なく助け舟を出そうと俺は会話に入り込んだ。 タバサの言葉を肯定した俺にカチンと来た様で、蒼星石が声を荒げた。 でもそんなん気にしてたら話が続かんから、続ける。悪い、恨むな。 「街の外、か……俺が送ったるわ。すまんトリエラ、待っとってくれるか?」 「良いけど、その間にここで何かあったら逃げるわよ?」 「おっしゃわかった。あ、じゃあ代わりに金槌君置いとくわ。なんかあったら使え」 「はいはい」 俺の言葉にトリエラも賛同してくれたらしい。短く俺の言葉に答えた。 トリエラに感謝の意って奴を述べて勢いに任せる。やけでもその間も蒼星石は困惑中やったらしい。 俺はそんなあいつの肩に手を置き、「察したれや」と出来る限り優しい声色を使って言う。 ついでに「悪意が無いのはわかってんねやろ? お前がついとったら大丈夫やて」と付け加えた。 そうやってやっとこさ蒼星石の不服の声が収まった。ようやった俺、と自分を褒める。 直後にタバサが「ありがとう」と言ってきたんで「構わへん」と返しておいた。 ――そう。後でゆっくり話すから、今は別に構わん。俺には俺の考えがあるんや。 「……トリエラ、金糸雀の腕を渡してくれないかい? 大事なものなんだ」 「そう……まぁ良いわ。本来なら対価を要求するところだけれど……」 「恩に切るよ……ところで、この手袋は?」 「ああ、じゃあ対価はそれで。手袋は貰うわよ」 タバサとやりとりをしとる内に、蒼星石は金糸雀の腕をトリエラから受け取ったらしい。 受け取ったそれを蒼星石は棺桶に入れる。そういや……ククリも入っとるんやったか。 正直、辛いな。このままにするのは、ホンマに……。 とまぁ、そんな事があってから今に至る。 真っ直ぐ西に向かっていると、街はすぐに終わりを見せる。順調に歩いてたらしい。 バルディッシュが気ィ聞かせてくれて定期的に索敵をしてくれたおかげか。 まぁそれ以前に俺も周りに意識集中して様子を窺っとったけどな! 「うん、ここで良いよ小太郎君。ありがとう」 しばらく歩いているとタバサは立ち止まり、また感謝の言葉を俺に向けた。 今更気づいたけど、どうやら橋を渡りきって尚しばらく歩いてたらしい。 確かに街の外には出た。区切りとしては丁度ええ、ここまでの様やな。 「このまま城に行くんやったな?」ともう一度確認をすると、肯定の言葉が返ってきた。 そして二人は俺にまた礼を言って、そのまま歩き始めようとした。が、それは拙い。 「ああ、ちょい待て! 特にタバサ、すまん!」 「……今度はなんだい?」 いい加減我慢の限界なのか、蒼星石は低い声で呟きながら立ち止まってくれた。 タバサも立ち止まってくれた。このまま行かれたんやったら、俺の行動は無意味になる。 俺は「話したいことあんねん。ちょっと、来てくれ」とタバサの手を取る。すまん、時間をくれ。 「え? い、良いけど……蒼星石は?」 「そうだよ、僕はどうなるのさ!」 「待っとってくれ」 どんどん俺への評価を下げていってる(ように見える)蒼星石の視線に刺されながら、タバサを離れた場所に連れ出した。 少し歩くと、大きな桜の木が姿を現した。ひらひらと落ちる桜の花が夜を舞う幻想的な空間。 振り向けば小さく蒼星石の存在が視認出来た。丁度ええ、ここにしよう。二人で揃って立ち止まった。 「綺麗……これを見せたかったの?」 「違う。そうやない……訊きたいことがある」 場所として選んだそこは……俺とのび太が初めて出会い、話をした場所やった。 しかし俺はそこで、また大事な話をしようとしとる。因果なもんや。 俺はタバサがシャワーを浴びとる間に決意をした。タバサをどうするかの問いの答えを決めた。 そうして初めて、もう俺にはこの方法しかないと気づいた。そして、逆にこの方法は俺にしか出来んとも思う。 もし”予感が当たった”らどうするかも考えとる。やけども基本はたった一つ、単純なこと。それがようやくわかった。 俺は、高町なのはにしてやれんかったことをするしかない。 タバサを助けるために、俺はこの現実にリベンジをする。 だから蒼星石からタバサを引き剥がした。もう戻れへん。やるしかない。これが俺なりの想いやから。 そやから言う。躊躇わずに、言葉を紡いだ。 「無理、しとるやろ」 タバサの顔が、凍りついた。 ◇ ◇ ◇ 「無理、しとるやろ」 突然の小太郎君の言葉に、私は顔が引きつったのを感じた。 笑みを浮かべて動じないふりをしていたのに。昼間の様に上手く出来なかった。 だって、まさかこんな事を言われるとは思わなかったから。 ――否定しなきゃ。違うって言わなきゃ……。 「無理って、何の話? そんなこと全然……」 「声が震えとるぞ」 小太郎君に指摘されて、私は慌てて両手で口を塞いだ。 けれど、今頃そんなことをしたって意味が無いのはわかってる。 手を静かに、ゆっくりと下ろした。今の私はどんな顔をしてるだろう。 「今、”まさかばれた?” って不安に思うてるやろ」 また小太郎君に指摘される。まさしく、その通りだ。 よりによって蒼星石に嘘の自分を押し付けている事がばれたのかと頭がいっぱいになる。 ボロは出していないはずだった。蒼星石には気づかれていないとは絶対に言える。 蒼星石がいる手前、私は今までの様に”強い私”を小太郎君達にも見せたし、それも上手くいったと思っていた。 上手くいくはずだった。蒼星石も私に懐疑的な表情を浮かべなかったし、何とかなったと思った。 なのにどうして、小太郎君は……。 「どうして……」 私はつい、疑問を口に漏らしてしまった。 はっとして気づくがもう遅い。私は彼の前で弱さを見せてしまった。 疑問の言葉が弱さの証だ。小太郎君は察してしまった。互いに、笑顔は無い。 「言ってなかったか? 学校での”高町なのは”の話……お前見て、そいつを思い出した」 私が漏らした疑問に、小太郎君はゆっくりと答え出した。 「そいつ、自分だけは強くあろうと決心してるっぽくてな。 仲間を死なせん為に修羅になったんや。周りからどう思われても構わん風してな」 そう語る小太郎君の瞳は、とても哀しそうだった。 「お前の話し方やら内容やら、喧嘩の時の事とか思い出したら、すぐに気づいた。 お前は仲間の前で無理をしとる――特に蒼星石の前では、ってな。 今までやってきたおかしなやり方も……蒼星石のおる手前、仕方ないと思うてたんやろ?」 小太郎君の答えと問い。それに私は小さく頷いた。 何も言えなかった。その通りだからだ。 「……アホやな。辛いだけやろ?」 また私は頷く。その拍子に雫が一粒零れた。 駄目なのに。こんなの、見せちゃ駄目なのに。 「ちなみに、高町なのははお前と同じように我慢して我慢して……結局、戻れんなったわ。 そんで重圧感じたんやろな……悪魔呼ばわりされて、独りでどっか行ってもうた。消えてもうた」 小太郎君はそこまで言うと、一旦言葉を切る。 そして一歩二歩と私へ足を進め――私の胸倉を掴んだ。 小太郎君の顔が勢い良く近づき、目の前に迫る。その瞳は怒りを灯していた。 でもその怒りは、きっと私だけに向けたモノじゃないってわかった。 「あいつが俺に弱みを見せてくれた癖に、俺はあいつを止められへんかった! 結局大惨事や! だから今、俺はお前にこうやって話してんねや……よく聞け。もうええから、もうええから無理はすんな!」 小太郎君の叫びにも似た悲痛な言葉が私を刺す。私と小太郎君自身に怒りが放たれる。 高町なのはという子が辿った道を聞いて、私自身の今の道を思い出して、私は背筋が冷えるのを感じた。 けれど現実から逃避するのは許されないし、小太郎君が許してくれない。 「もっと他人を信用したらどうや! 自分をそう強く見せんでも、他の奴らは助けてくれるやろ! ここに来る前にネギと何度も一緒に戦って……それからここで色々と見てきたおかげでわかってんねん! 独りで背負うな! お前は強がりで自分を殺しやがって……皆に強く見て貰ぉて、何かの教祖にでもなる気かッ!?」 小太郎君の言葉が深く深く突き刺さっていく。 ずぶずぶと私の臆病な胸の中へ埋もれていく。 悲痛なその叫びは、天空の剣よりも鋭い切れ味を見せた。 「ホンマはお前を放っとけんけど! 放っとけんけど……俺はシャナを探さなあかん。 それにお前が兄貴を探したいってのは痛いほどわかるから、俺は無理にお前を連れて行かん。 だから……俺の言葉はしっかり刻め! 絶対や! 刻んで刻んで忘れるな! ……ええな?」 「…………」 けれど、答えられなかった。 答えてしまえば、今までの積み重ねが消えてしまう。 小太郎君が正しいのはわかってる。けど、でも! 「ええな?」 無言のままの私に、小太郎君が更に問いかけてくる。 でも、答えられない。 「…………でも、」 「ええな!?」 再び強い口調で、私に返事を促した。 小太郎君が力強く私に問う。返事を促す。 「…………うん」 ――心が、折れた。 「わかったら……ええねん……」 胸倉を掴みっ放しだった小太郎君の手から放された。 鬼気迫る表情での説得――私は、忘れようにも忘れられないだろう。 掴まれた体勢から開放され、私達はしばらく沈黙した。 ひらひらと、桜の花弁がお構いなしに踊っている。 結局、小太郎君に弱みを見せてしまった。 甘えてはいけないって思ってたのに。自分がしっかり無いといけないと思ってたのに。 自分の意志が貫けなくなってしまって悔しい。けれど、嬉しいと思ってしまった。 そんなこと考えるな、と自分に命令するけど止まらない。嬉しさがこみ上げる。 流されるように、口が勝手に開いた。 「あのね……不安なこと、まだあるの……」 「……なんや? 聞くで」 「イシドロの、事」 「……あいつか」 蒼星石の方を小太郎君が見る。思わず置いてきてしまった棺桶がある。 「不安、なの。シャワーの時に気づいたの……もしかしたら、死んだ人は生き返らないんじゃないかって! 魔法の一部が抑制されて……ひょっとしたらって、でも、実際はわからない、から……不安、なの……」 小太郎君が頭を悩ますような表情を浮かべる。 けれどそれはすぐに無くなり、真剣な表情で答えた。 「殺し合いのゲームを楽しんでるジェダが、参加者の復活を許すとは思えん。 そんなことが出来たとしても……それは俺らや無い、ジェダだけやろうな」 「……そう、思うんだ……」 「普通に考えてそうや。そういうコト、あんま期待すんな」 小太郎君の推理と結論に対して、私は絶望を覚える。 だからつい、私は小さく反論してしまった。 「でも……蒼星石にそんなコト、言えないよ……」 その言葉を聞いた小太郎君の表情が険しくなった。 しまった、と気付く。私は小太郎君の言葉を結局また否定していた。 相手の怒りに謝罪をする間もなく私の手首が小太郎君に掴まれた。そのままぐいと引っ張られる。 強制的に地面を足で歩かされる。彼が私を無理矢理引っ張って連れて行く先には――蒼星石がいる。 「もう、ええ。わかった。じゃあ蒼星石なんか知らん。 お前の異変に気づかへんような奴、知らん! お前と一緒に付いていかせるか! あいつがお前の枷になるんやったら、あいつの存在は必要ないわ! ようわかった!」 「な、なんでッ! どうして、そんな、なんで……!」 混乱する頭で、小太郎君の言葉を頭の中で復唱してやっと気付いた――このままじゃ、蒼星石と私は離れ離れになってしまう! 必死に手を振り解こうと抵抗するけど、小太郎君の力はとても強い。ならば、バイキルトを唱えて……という発想は浮かばない。 今の私は泣きじゃくって小太郎君の言葉を否定することで精一杯で。何も、出来なかった。そうだ、これが本当の弱い私だ。 「やだっ、やめて……やめて!」 「やめん! 路線変更や、俺が蒼星石の代わりについてったる! そんでお前をゆっくり矯正したるわ! お前にプレッシャー与えるような奴とはお別れや! 別に路頭に迷わそうとかそんなつもりやないから安心しろ!」 「そんな! じゃあ、蒼星……石は」 「トリエラの所にでも置いてもろうたらええわ! 俺が説明する!」 「嫌! 蒼星石とお別れなんて……だめっ、だめえ!」 「駄目やない! お前の言葉を借りたら『仕方の無いこと』なんや!」 「…………っ!」 手が引っ張られる。脚が縺れそうになる。そうやって歩いて、蒼星石の元へと到着した。 丁度後ろを向いていた蒼星石が振り向いて、私に笑顔を向ける。けれどすぐにそれは消えてしまった。 「……タバサに、何をしたんだい?」 泣きじゃくる私を見て、蒼星石は不安を感じたに違いない。 敵意が混じった瞳を小太郎君に向けている。 「何もしてへん。ほんまや……それよりも蒼星石。すまんな」 「やだ、やだ! やだぁ! 言わないでえ! いわないでこたろぉく……っ」 まともに声を出せずに、私は泣き叫びながら止めようとする。 でも私の手は相変わらず小太郎君にしっかりと掴まれていて……! 「頼む……お前、もうタバサと別れてくれ」 ◇ ◇ ◇ どれだけ言っても、何度言っても間違った方向に自ら足を突っ込もうとするタバサ。 それを見た小太郎は「蒼星石がタバサを縛って苦しめる存在になるなら、もうこの方法しかない」と、行動を起こした。 彼も、一応はシミュレートしていた。蒼星石という束縛から逃げられず、こんな事になるかもしれないという予感はしていた。 そして予感は外れず、現実となって襲い掛かってきた。もう止められない、止まらない、止まることが出来ない。 最早方法は一つしかなく、犬上小太郎は「それ」を試みた。 タバサを鎖から解き放つ、絶対唯一の方法――哀しみという副作用を持った、最後の手段を。 ◇ ◇ ◇ 「……遅い」 変わらず待ち続けるトリエラが、ついぼやいた。 右手で頬杖を付き、左手はコップを持っている。 コップの中は空っぽ。既に何度中身を飲み干したか。 グラーフアイゼンはハンマーフォルムのまま壁に立てかけられている。 デバイスの形を変える方法を知らなかったトリエラの仕業だ。 「どこで油を売ってるのかしらね、あなたの仮マスターは。まさか……」 『敵影は無いようですが』 まさかこのまま帰ってこないんじゃないか、とふと不安になったがグラーフアイゼンの言葉を信じて気にしないことにした。 ゆっくりと床に寝転がる。気分はナマケモノだ。まさかこんな風に時間がぽっかりと空くとは思わなかった。 「まぁ、静かに休めるのはいいけど……ね」 『こちらとしても、久々にまともな方に従事できるので、安心して過ごせます』 「ああ……だからあなた、小太郎に自分を売ってたのね」 『Ja. 何方でも問題無かったのは事実ですが』 「ふぅん……私でも?」 『Ja.』 【F-1/桜の木と東の橋の間/1日目/真夜中】 【タバサ@ドラゴンクエスト5】 [状態]:多少の疲労、魔力少々 [装備]:バルディッシュ・アサルト(待機状態)@魔法少女リリカルなのは(カートリッジ残数2/後小一時間で破損部全快) [道具]:支給品一式×2(イシドロの服の食料も回収済み)、手榴弾×2、ヴェルグ・アヴェスター@Fate/hollow ataraxia [思考]:やめて! 小太郎君っ、いわないで……やだぁ! 第一行動方針:小太郎を止めたいが無理だった。どうしよう。 第二行動方針:蒼星石と行動を共にしたかったのに。どうしよう。 第三行動方針:仲間を探したかったけどそれどころじゃない。どうしよう。 基本行動方針:蒼星石に対して「強い自分」を演じながら、レックスを捜索する。 最終行動方針:自分と仲間の安全を護り、レックス達とゲームからの脱出 [備考] 「ドラゴンクエスト5」内でタバサが覚えている魔法は全て習得しています。 蒼星石への強がりが元で、自分が彼女から誤解を受けていることに気付いていません。 死者の蘇生に期待していません。「自分達の力では不可能」と考えています。 【犬上小太郎@魔法先生ネギま!】 [状態]:多少の疲労、気が少々、背中と左足に怪我(瞬動術は使えないがそれなりに動ける) [装備]:手裏剣セット×7枚@忍たま乱太郎 [道具]:基本支給品(水少量、パン1個消費)、工具セット、包帯、指輪型魔法発動体@新SWリプレイNEXT [思考]:蒼星石、悪く思うなよ……! 第一行動方針:タバサと蒼星石の繋がりを絶つ為に説得し、以降はタバサと共に行動する。 第二行動方針:トリエラはいつか一発殴りたい。つか勝手に色々決めてすまんわ。 第三行動方針:レックスと再会した後、シャナ一行あるいは梨花一行との合流を図る 第四行動方針:双葉に頼まれた梨々、小狼に頼まれた桜を探す。見つけたら保護する。 基本行動方針:信頼できる仲間を増やし、ゲーム脱出(必ずしも行動を共にする必要はない)。 [備考] 紫穂に疑いを抱いていますが確信はしていません。 【蒼星石@ローゼンメイデン】 [状態]:金糸雀のローザミスティカ継承、全身打撲(行動には余り支障なし)、タバサに感化されて神経麻痺、激しい困惑 [装備]:金糸雀のバイオリンと弓@ローゼンメイデン、戦輪×9@忍たま乱太郎 [道具]:基本支給品×2、ジッポ、板チョコ@DEATH NOTE、 素昆布@銀魂、翠星石の如雨露@ローゼンメイデン、 旅行用救急セット(消毒薬と針と糸)@デジモンアドベンチャー、棺桶 [思考]:なん……だと……? 第一行動方針:タバサと共に城へ行きたい。 第二行動方針:まずはタバサを休ませたい。 第三行動方針:タバサの『夢』に入ってレックスと接触する。 基本行動方針:タバサをどんなことをしてでも守りつつ、レックス捜索。 [備考] タバサに強い感情(忠誠心?)を寄せています。また軽度の依存も自身で感じています。 タバサの性格や行動の多くを誤解している事に気付いていません。 [棺桶の中身] 基本支給品×3、イシドロ・ククリ・金糸雀の死体、真紅の腕、金糸雀の腕 さくらの杖@カードキャプターさくら、目覚まし時計@せんせいのお時間、レミリアの日傘@東方Project、生乾きの服 【G-1/民家/1日目/真夜中】 【トリエラ@GUNSLINGER GIRL】 [状態]:頭部殴打に伴う激しい頭痛。胴体に重度の打撲傷複数、全身に軽度の火傷、大きな疲労。 右肩に激しい抉り傷(骨格の一部が覗き、腕が高く上がらない)。 [装備]:拳銃(SIG P230)@GUNSLINGER GIRL(残弾数8/8)、 ベンズナイフ(中期型)@HUNTER×HUNTER、 トマ手作りのナイフホルダー、防弾チョッキ [道具]:基本支給品、ネギの首輪、血塗れの拡声器、北東市街の詳細な地図 US M1918 “BAR”@BLACK LAGOON(残弾数0/20)、9mmブローニング弾×23 インデックスの0円ケータイ@とある魔術の禁書目録、コチョコチョ手袋(片方)@ドラえもん グラーフアイゼン(ハンマーフォルム)@魔法少女リリカルなのはA s(ダメージ有り、カートリッジ0) 回復アイテムセット@FF4(乙女のキッス×1、金の針×1、うちでの小槌×1、十字架×1、ダイエットフード×1、山彦草×1) [服装]:普段通りの男装+防弾チョッキ [思考]:早く帰ってきなさいよ。グラーフアイゼンもそう思うでしょう? 第一行動方針:グラーフアイゼンとともに小太郎を待つ。誰かに襲われたら退避。 第二行動方針:トマとその仲間たちに微かな期待。トマと再会できた場合、首輪と人形の腕を検分してもらう 基本行動方針:好戦的な参加者は積極的に倒しつつ、最後まで生き延びる(具体的な脱出の策があれば乗る?) [備考] 携帯電話には、島内の主要施設の番号がある程度登録されているようです。 携帯電話へ『温泉宿』の電話番号を新規登録しました。 トリエラが警察署地下で見た武器の詳細は不明。 【補足】 タバサ、蒼星石、小太郎、トリエラは全員が情報交換を行いました。 今までの生い立ちから現在までの状況、自分達の指針等を全て理解しています。 BACK ≪228 鉄鎚は語る 時系列順に読む 232 屏風の虎 -their roots-≫ ≪230 ロボットは電気鼠の夢を見るか? 投下順に読む 232 屏風の虎 -their roots-≫ ≪228 鉄鎚は語る タバサの登場SSを読む 244 ノーザンクロス≫ 蒼星石の登場SSを読む トリエラの登場SSを読む 小太郎の登場SSを読む
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敵 名前 HP 攻撃を受けるとダメージエフェクトが起きてHPが減る。 HPが0になると爆発エフェクトが起こって消滅する。 その他ST未定。 攻撃タイプ
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・バート(敵)
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八日目以前 八日目 『百鬼夜行 Wars』 九日目 『奇想天外 Miracle』 十日目 『絶体絶命 Danger』 十一日目 『注意一秒怪我一生 Security is the greatest enemy』 最終日目 八日目 『百鬼夜行 Wars』 +... 通りゃんせ 通りゃんせ ここはどこの 細通じゃ 天神さまの 細道じゃ ちっと通して 下しゃんせ 御用のないもの 通しゃせぬ この子の七つの お祝いに お札を納めに まいります 行きはよいよい 帰りはこわい こわいながらも 通りゃんせ 通りゃんせ ミーロ「なんで・・・なんでなんですの・・・!」 零「何で、もないだろう」 ポセイドン「人狼が生き残っているのだから、当然ではあるのである」 小雪「・・・・・・・・・絶対・・・に・・・・・・許さない」 小雪「・・・紅・・・・・・ハゼルラ・・・」 小雪「仇は・・・・・・討つ」 ~八日目 『百鬼夜行 Wars』~ 小太郎「もう時間は一刻も無い!」 春「うん・・・そうだね」 春「こんなこと、もう終わらせなくちゃ・・・」 ポセイドン「であるが、まずは人狼を見つけなければ話にならんのである!」 セピア「でもポセイドンさん、そんなのどうやって・・・!」 ライ「・・・・・・和さま」 春「―――えっ、ライ・・・? 和は・・・もう」 ライ「前回、和は春さまの代わりに処刑されました」 ライ「そもそも、春さまを処刑しようとしたのは霊媒結果を見極めるためです」 ライ「・・・なら、霊媒結果を聞くのが今における最善手かと思われます」 ライ(でも和さまは春さまの替わりに処刑されました。なら、霊媒結果は多分―――) 大地「確かに・・・ライの言う通りだな!」 美貴「霊媒師は・・・えっと」 小雪「・・・・・・小太郎、そして・・・・・・セピア」 ミオ「確かに、その二人でした!」 結城「じゃあ・・・霊媒結果、頼む!」 小太郎「こっちは東風和、人間だ」 セピア「あ・・・和さん、人間でした」 春「・・・っ、そんな・・・・・・!」 ライ「・・・・・・想像通りでしたが・・・これは・・・」 春「っ・・・・・・だから・・・言ったのに・・・」 春「これじゃ、和・・・・・・無駄死に、じゃない!」 ミーロ「春・・・さまっ・・・・・・!」 レイムス「前向きに考えた方が、いいですよぅ」 レイムス「そう・・・人狼候補が一人減って、的中率がアップですよぅ?」 春「そんな、言い方!」 零「・・・・・・しかし、参ったな」 零「これでは、一歩も進展することが出来ん」 零「やはりこれは春を処刑するしかないだろう」 ポセイドン「っ・・・・・・!」 大地「零、いきなり何を!?」 零「当然のことだと思うがな?」 零「昨日は春の代わりに和を処刑した。・・・だがこうして、結果は出なかった」 零「なら、当初の予定通り春を処刑するしかないだろう」 春「・・・、それも、そうかも・・・知れない」 零「・・・和に感謝することだな、一日長く生き延びれたのだから」 春「・・・・・・れない」 春「・・・・・・・・・私は、生き延びる」 春「紅が小雪の中で生きているように、和も私の中で生きている」 春「・・・私が死ぬと、和も死ぬ。だから、死ぬわけにはいかないんだ!」 零「だからどうした」 零「なら、人狼が誰か推理して見せろ」 春「・・・・・・推理・・・!?」 春(できるわけがない! 和は無駄死に、人狼に喰い殺されたのだって・・・!) 春(・・・えっ、人狼に喰い殺された?) 春(今日、喰い殺されたのって確か・・・・・・!) 春「・・・推理だね! わかった! じゃあ―――」 零「いや、推理はもういいだろう」 零「推理の材料は昨日とほとんど変わらない。推理するだけ時間の無駄だ」 セピア「確かに・・・そう思います」 ミオ「同じところを堂々巡りになっちゃいますね・・・」 小太郎「いや、和の処刑によって変わった部分はあると思うぞ」 レイムス「同意です。的中率もアップしてることですしぃ?」 結城「こっちはそうは思わない。大して推理の材料になるとも思えない、早いところ処刑してしまおう」 結城「その方がいいと思わないか、大地、美貴?」 大地「・・・確かに、今のままで推理しても昨日とほとんど変わらないのが落ちだとは思う」 美貴「まぁ、同じことを繰り返すのはかったるいし。・・・・・・不謹慎だとは思うけども。」 零「・・・・・・そういうわけだ、とっとと投票に移ろう」 春「・・・・・・」 春「・・・・・・ごめん、和。私は・・・」 ライ「待ってください」 ライ「皆さま。・・・一つ、提案があります」 零「・・・・・・何だ、ライ? 投票があるから手短にな」 ライ「はい、それでは――」 ライ「―――私を、処刑してください」 春「え・・・・・・・・ち、ちょっと待って! な、何言ってるの・・・!」 零「・・・・・・どういうことだ、ライ?」 ライ「最近のことです。よく、夢を見ます」 セピア「え・・・だって、ライさんは、ヒューマノイド・・・」 ライ「―――私が狂う、醜く、そして悲しい、夢です」 ライ「その夢で、私は・・・よく分からない気持ちで、女の子を殺そうとします」 ライ「終わりは、いつも私が壊れるところです」 ライ「―――大事な人を、悲しませるところで終わってしまいます」 ライ「・・・春さまが死ぬと、和さまも悲しみます」 大地「おい、ライ・・・・・・和は、昨日!」 ライ「和さまは、生きています。春さまの、中で」 ライ「夢の中で、私は―――女の子を、殺そうとしました」 ライ「だから、私は―――守りたい」 春「・・・・・・ライちゃん・・・、・・・・・・・・・・いいの?」 ライ「はい」 春「・・・っ、ごめん、ごめん・・・おねがい」 ライ「・・・謝らないでください、これが私に、できることですから」 零「ちっ、・・・・・・投票に入る!」 ~投票中~ ライ「・・・・・・わタシは、いっタい・・・」 ライ「・・・メモりー・・・そんシょウを・・・・・・かクにん・・・」 ライ「・・・・・・ヲもいダし、まシた」 ライ「トうひョうケっか・・・・・・ラい・・・じュう、サン、ひョウ・・・で・・・」 ライ「・・・・・・わタしは・・・ヤくに・・・・・・タテまシた・・・でしょウか・・・」 ライ「・・・ね・・・・・・ス・・・さン・・・」 ライ「・・・シ・・・・・・・スてむ」 ライ「・・・・・・しャッと、・・・ダ、う、ン・・・・・」 ~ 八日目 Fin ~ 投票結果 ライ 13票 死亡者 人狼:ハゼルラ 投票:ライ 生存者(12人) ポセイドン ミオ・ヘスティア・ティターン レイムス・デメテル・ティターン ミーロ・ロレンス 南風原春 狩月零 安土小太郎 村松美貴 桜井大地 川原結城 セピア・ネープルス 小雪 ~ おまけ ~ ライ「というわけで、今回からよろしくお願いします」 ハゼルラ「いやいや、ちょっとまて。あのエンドの後にすぐ出るのはどうかと思うぞ?」 ライ「おまけですので問題ないと思われます」 和「いやいや、流石にシリアスブレイカーはどうかと」 ピア「本編ではっちゃけておいたくせに何を言い出す、和」 Dr.「しかし、増えたねここも?」 結火「何しろ14人も死んだわけだ。全く、たかが4匹に何を手間取っている」 紅「本当にね、全員燃やせば解決するのに」 ウルカヌス「燃やすなカスい。」 ルシフェル「しかし、バニー服のストックがよくこんなにあったな?」 Dr.「趣味の一環でね」 香「やだ・・・変態・・・」 和「・・・しかし、目のやり場に困るなこれ」 水華流「・・・へー、困っちゃうんだ」 暁「こんな服で目のやり場に困るって子供だねー?」 紅「うふふ、和くんも着てみる?」 和「い、いやいや! おれにはこの男に支給されているタキシードでいいっての!」 香「でも、着てみたら? きっと似合いますよ?」 ピア「・・・和のバニー服か、興味はあるな」 ウェヌス「・・・・・・(目を輝かせて)」 ライ「面白そうですね、混ぜさせてください」 和「ひ、ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!!」 ナイーガ「あっちはあっちで大変なようだな」 Dr.「賑やかなのはいいことだよ?」 Dr.「本編と人数も逆転したし、おまけが本編とするのもいいかもね? ほらハゼルフ、ご注文の品だよ?」 ハゼルラ「ハゼルラだ。・・・おおさんきゅ。」 ハルチェ「ところでさっきから気になっていたんだが、Dr.・・・なぜお前もバニー服を着ている?」 Dr.「言っただろう、くっくっく?」 Dr.「趣味の一環だよ?」 ~ おまけ Fin ~ 九日目 『奇想天外 Miracle』 +... ずいずいずっころばし ごまみそずい 茶壺に追われて とっぴんしゃん 抜けたら、どんどこしょ 俵のねずみが 米食ってちゅう、 ちゅうちゅうちゅう おっとさんがよんでも、 おっかさんがよんでも、 行きっこなしよ 井戸のまわりで、 お茶碗欠いたのだぁれ ポセイドン「・・・今度は、大地であるか」 美貴「・・・・・・なんで、頑張っていた人から喰い殺されるのかな」 ミオ「・・・やりきれません、こんなの!」 ポセイドン「気をしっかり持つのである」 ミーロ「そうは言っても、もう、気が・・・・・・狂いそうですの」 ~九日目 『奇想天外 Miracle』~ 零「さて、手短に聞くぞ。結果は?」 小太郎「ライか。 ・・・言うまでもないだろうが、人間だった」 セピア「こっちも・・・人間でした」 結城「貴重な人間が、二日連続で無駄死にか」 零「これ以上無駄な犠牲を払うわけにもいかん。」 零「よって、今日こそ春を処刑する。異論は今度こそ無いだろうな」 レイムス「・・・まぁ、もう春をかばう理由も無いですよぅ」 春「・・・私はまだ! 素数を数えて落ち着く! 1、3、5、7、11・・・!」 小太郎「・・・・・・もう、諦めた方がいい、春」 小太郎「今さら粘ったところで何にもならない。 ・・・俺たちにとっても、お前にとっても、な」 小太郎「人狼の気まぐれで喰い殺されなかった、という幸運があればもう充分だろう」 小太郎「・・・・・・・・ん、人狼に喰い殺されなかった・・・?」 小太郎「ちょっと待て・・・それって、おかしくないか・・・!?」 小太郎「考えろ・・・、なぜ、こんなことが・・・」 小太郎「そうか、分かったぞ・・・、これならヤツの不自然な態度も説明が付く」 小雪「・・・・・・春に、投票・・・?」 零「ああ。今日こそ、春を処刑する」 ミオ「・・・無駄な血を、流してしまいました」 結城「だがそれも、たぶん今日で終わる」 零「よし、投票に移るぞ!」 小太郎「待ってくれ」 零「・・・・・・今度はお前が、春の身代わりになるっていうのか?」 春「こ、小太郎・・・! 私なんかのために、命を捨てるのはもう・・・!」 零「・・・そういえば霊媒師だったな、小太郎。ちょうどいい、お前を処刑することでどっちが本物か分かるかもな」 小太郎「勘違いするな。 ――南風原春の処刑には賛成だ」 春「―――――ッ!!」 小太郎「いや、南風原春の処刑と言う表現もいささかおかしいものだ」 小太郎「なぜなら、南風原春は―――既に、死んでいるのだからな」 ポセイドン「な、なんだってであるーーー!?」 美貴「そうなんだ・・・春が! 人狼、だったんだ!」 小太郎「違うな」 小太郎「この南風原春は人狼ではない。妖狐だ」 春「え・・・? あ、あはは。何言ってるのさ?」 小太郎「よく考えれば、お前の行動は一貫して不自然だった」 小太郎「不自然なほど緻密な推理。 ・・・普段の南風原春なら、考え付かないであろう推理をな」 小太郎「そして、最初に「妖狐」の可能性について言及したのも・・・思い返せばお前だ」 小太郎「さらに不自然の極みだったのが、7日目だ」 セピア「七日目・・・あ、た、確か・・・!」 小太郎「七日目。・・・・・・お前の推理が、わずかな間とは言え・・・鈍った日だ」 小太郎「なぜ鈍ったか? それは、六日目にある」 小太郎「紅。そしてピア。二人の占い師が死んだ日だ。 ・・・ピアの方は五日目だがな。」 小太郎「ここで訊こう。占い師が死んで、一番得するのは誰だ?」 ポセイドン「それはやはり、人狼ではないのであるか?」 小太郎「はずれだ。・・・人狼には、占い師騙りがある」 小太郎「占い師が喰い殺されたりした場合、必然的に疑いの目は偽物の方に向けられる」 小太郎「人狼は占い師を騙れるが故・・・占い師が死ぬと確実に得するわけではない」 小太郎「しかし、妖狐の場合はそうはいかない」 小太郎「妖狐は占い師に占われたら一発で死ぬ・・・人狼以上の脅威だ。」 小太郎「そのため、妖狐は占い師を死亡させるのが最優先事項となる。」 小太郎「そして、六日目にその目的を達した春は、下手に口を出さないようにした」 小太郎「占い師が死んだ今、下手に推理に口を挟めば自分が疑われる可能性もある。」 小太郎「だから、お前は黙ることにした。 ・・・無能のおかげで疑われることになったようだがな」 春「・・・・・・」 小太郎「以上だ。・・・反論があれば、手短にな」 春「・・・・・・証拠は、あるの?」 小太郎「無い。だが、確証はある」 小太郎「お前は、不自然なくらいに人狼、狂人、妖狐の役職について詳しかった」 小太郎「Dr.に直接聞かされてもいないのに、な・・・」 春「・・・・・・そう。まぁ、どっちにしろ今日処刑されることだし、粘ってもどうしようもないようじゃな」 春「さて、妖狐としては初めまして、じゃな。妾はそなた等の噂なりける妖狐ぞ。」 零「・・・妖狐!」 春「それにしおっても平和に暮らしておるのに邪魔とは無粋よの。もう少し楽しませてくりゃせ?」 レイムス「・・・・・・でも、無粋はそちらだと思いますよぅ? 春を殺して、紛れ込んでいるんですから」 春「これこれ、物騒なことを言うでない。まだ、この身体は生きておるぞ?」 春「・・・もっとも、自我は既に美味しく頂いたがの。くきき、それなりに美味であったぞ」 小雪「・・・・・・どういう・・・こと?」 小太郎「察するに・・・身体は春のものだが、意識は妖狐が乗っ取ったようだ」 春「うむ、その解釈で大体あっておる。感嘆すべき理解力よの」 ミーロ「・・・・・・妖狐さま、あなたはいつからその身体にいたんですの?」 春「うん? よくは覚えておらぬが、ほんの数週間前からじゃの」 春「少なくともこのげぇむとやらが始まる前からにおったでな」 ミーロ「じ、じゃあ和さんと、ライさんは・・・」 春「・・・・・・くききききききききききききききき、笑いを堪えるのも大変でおったわ!」 春「妾が凡ミスを犯した時はどうしようかと思うたが、天から渡しとはこのことであるの!」 小太郎「・・・天から渡しなんてことわざは存在しない」 春「およ、そうかの。日の本の国の言葉は難しくて困りおる。」 ミーロ「で、では・・・和さんと、ライさんが殺された時のは・・・・・・!」 春「名演技だったじゃろ? 狙うは助演女優賞でな。」 春「くきききき、もっともこのような茶番では客が入るかどうかすら怪しいがの!」 零「・・・・・・投票に入るぞ」 零「・・・・・・首を洗って覚悟しろ、妖狐」 春「それはそれは、重畳。楽しみに待つとするかの。」 春「く・・・・く、くききききききききききききききききききききききききききききききききき!!」 ~ 投票中 ~ 春「・・・・・・人の世も、なかなか楽しい物よの。」 春「さて、この三十八万二千七百五十二体目の転生体もお別れかの」 春「次の転生先は・・・くきき、実に楽しみでありゃせ」 ~ 九日目 Fin ~ 投票結果 南風原春 11票 死亡者 人狼:桜井大地 投票:南風原春 生存者(10人) ポセイドン ミオ・ヘスティア・ティターン レイムス・デメテル・ティターン ミーロ・ロレンス 狩月零 安土小太郎 村松美貴 川原結城 セピア・ネープルス 小雪 ~ おまけ ~ 春「久しぶりー、和! もうホンットに久しぶり!」 和「まさか、ずっと妖狐だったとはな・・・」 ピア「不自然には思わなかったのか?」 和「いや、全然。あれ春がいきなり賢くなった?とは思ったけど。」 水華流「無能ですね」 結火「無能だな」 和「何で俺がボロクソ言われないと駄目なんだ!?」 春「・・・本当に全然気付かなかったの?」 和「すっげー人真似上手かったじゃないか? 完全に騙されて・・・」 春「和、ちょっとホームランバットかして」 和「ん、おお。ほい。何に使うんだ?」 ~ おまけ Fin ~ 十日目 『絶体絶命 Danger』 +... ヤンキードゥードゥルが 子馬に乗って町へ行った 帽子に羽根をつけて イタリア仕込みの洒落男 ヤンキードゥードゥルその調子 ヤンキードゥードゥルいかしてるね 音楽にあわせてステップ踏めば 女の子たちだってイチコロだ! ミオ「・・・・・・とうとう、9人ですね」 美貴「今日、食べられたのは?」 小雪「・・・・・・ポセイドン」 ミーロ「確か機械鎧を着てましたよね、それなのに喰われたんですの?」 ミオ「その機械鎧が・・・強い力で、破壊されてたの」 小太郎「確か、Dr.が俺たちと同等か、それ以上と言ってたな・・・」 零「Dr.のヤロウ、どう見ても俺たちより強いのはどう考えても明らかだろう・・・!」 レイムス「本当、Dr.は死んでしまえばいいのにぃ」 結城「もう死んでるけどね、ハハハ」 ~ 十日目 『絶体絶命 Danger』 ~ 美貴「・・・・・・・」 ミオ「・・・・・・・」 小雪「・・・・・・人狼は・・・あと・・・何匹?」 小太郎「さあな・・・・・・、春・・・、いや、妖狐のせいで占い師は死んだだろうからな」 美貴「それなんだけど、本当に・・・占い師は、死んだのかな?」 美貴「ほら、紅のように実は隠れてて・・・」 結城「恐らくそれは無い。」 結城「妖狐は占われると死ぬ。実際、春は占われてもおかしくないくらいに目立っていた。」 結城「だが、春・・・妖狐は昨日に至るまでずっと生き残っていた。」 結城「占い師が死んでいるのはほぼ間違いないだろうな」 零「・・・さて、聞くまでもないだろうが一応聞こう」 零「霊媒結果だ。・・・春が演技した、と言う可能性もあるしな」 小太郎「よく言う、演技? そんな可能性、微塵も考えていないくせにな」 セピア「あの・・・えっと、人間でした」 小太郎「こっちも人間だった」 ミオ「人間・・・!? じゃあ、春さんは!」 結城「慌てんな、美桜」 小太郎「Dr.は言及してなかったが、恐らく妖狐は霊媒結果は人間と出るだろう」 (作者注:Dr.に説明させるのを忘れてただけで、妖狐の霊媒結果は「人間」となります) 小太郎「それに妖狐でなければ説明のつかないところもあった。春=妖狐はまず間違いない」 零「・・・さて次なる課題だ」 零「セピア・ネープルスと安土小太郎。どちらが、本物の霊媒師なのか―――だ」 小太郎「愚問だ。俺に決まっている」 セピア「・・・ぼ、僕が本物です!」 零「当然、本物は一人なわけで・・・さて困ったな。どうするべきか」 結城「提案がある。一人ひとりの推理を聞いてみたらどうだ?」 零「名案だな。じゃ、あいうえお順で訊くとするか。」 ①アヅチコタロウ 小太郎「霊媒師は俺だ。」 レイムス「でも、ピアの占い結果と食い違っているんですよぅ?」 小太郎「占い結果が食い違っているのはセピアも同じだろう」 小太郎「よって、俺の主張では・・・紅が真占い、ピアが偽だ」 ミオ「・・・でも、紅が人狼と占ったピアは人狼に!」 小太郎「ここで、一つの仮説が立てられる」 小太郎「ピア狂人で、・・・紅は、ピアに嘘の人狼判定を出したんだ」 零「ほう・・・本物の占い師が偽の判定を出したと? ばかげた話だな」 小太郎「紅は自身が本物と分かっていた。だから、ピアが偽物とも分かっていた。」 小太郎「だから紅自身も驚いたはずだ。ピアに人間判定が出たことにな」 小太郎「勿論紅も馬鹿じゃない、すぐに狂人の可能性が頭に浮かんだだろう」 美貴「だったら・・・正直に、狂人と言えばいいじゃない」 小太郎「いや、紅からしたらそうもいかないだろう」 小太郎「狂人・・・人狼の味方とはいえ、貴重な人間だ」 小太郎「人狼を処刑することが最優先だったあの空気の中では、狂人はもう無視されると考えたのだろう」 小太郎「だが紅からすればそうもいかなかった」 小太郎「狂人とはいえ、偽とはいえ、一応は占い師を名乗っていた。紅よりもっと早くにな」 小太郎「もし、占いに嫌疑がかけられた場合・・・誰かが、ピアの方を信じる可能性がないとも限らない」 小太郎「紅はそれを恐れ、・・・手っ取り早く処分するために人狼判定を出した」 小太郎「逆に人狼にそれを利用され、「ピアは人狼に喰われたから真占いだ」とハメられたわけだがな」 小太郎「どうだ? 反論の余地はあるか?」 ②カツキレイ 零「パスだ」 零「俺の仕事は仕切りだ、頭脳労働じゃない」 零「まぁ・・・俺からすれば本物はセピアだろう」 零「小太郎、お前の推理はこじつけみたいな印象を受けるんだよ」 ③カワハラユウキ 結城「俺はセピアを信じていくぜ」 結城「ピアはまず間違いなく、狂人だろう」 結城「紅が偽の占いを行った。そこまでは判る」 結城「―――だが、それが分かったところで小太郎、お前が本物と言う事にはならん」 結城「何故ならば、一度も紅の占い結果と霊媒結果を照会したことがないからだ」 結城「紅の占い結果はただ一回。「ピアが人狼」だけ。」 結城「―――しかもそれは嘘で、さらにピアは人狼に喰われた!」 結城「なので、どちらの霊媒師が本物か・・・その決断はまだ下せない」 小雪「・・・・・・だったら・・・何で・・・・・・セピアが・・・本物・・・・・・と?」 結城「怪しいんだよ。唐突に饒舌になって、な」 結城「特に昨日の春も、主にお前主導だったよな?」 結城「人外は自分の都合にいい様に推理で印象工作する・・・、春と言う前例もある。」 結城「推理小説で言うミスリードだ。」 結城「・・・・・・とまぁ、こんなところだ。ここでオシマイ。」 ④コユキ 小雪「どっち・・・が、・・・・・・本物・・・でもいい」 小雪「紅と・・・・・・ハゼルラの・・・仇が・・・・・・討てたら・・・それ・・・でいい」 ⑤セピア・ネープルス セピア「あの・・・えっと、お願いします!」 セピア「推理とか、そういう難しいことは分からないんですけど・・・」 セピア「僕が本物なんです、信じてください!」 ⑥ミオ・ヘスティア・ティターン ミオ「えと・・・あのー、そうですね」 ミオ「小太郎さん、かなと。」 ミオ「小太郎さんは妖狐も見つけましたし・・・小太郎さんなら間違いないんじゃないかな、と」 ⑦ミーロ・ロレンス ミーロ「小太郎さまを、信じますの」 ミーロ「ミオさまと同じで・・・小太郎さまの推理は、合ってましたの」 ミーロ「ミスリードとかそういうのはよくわからないけど・・・なんとなく、小太郎さんならいい気がしますの」 ⑧ムラマツミキ 美貴「結城には悪いけど・・・私は、小太郎を信じる」 美貴「ピアがウェヌスに人狼判定を出した時のこと・・・、忘れられない。」 美貴「あの時のウルカヌスのことが・・・忘れられない。」 美貴「・・・セピアが本物だとしたら、あの時のウルカヌスが可哀想!」 美貴「感傷かもしれないけど・・・・・・ウェヌスは、人間であってほしい」 美貴「だから、小太郎を・・・信じる。」 ⑨レイムス・デメテル・ティターン レイムス「・・・・・・小太郎派4人、セピア派3人ですかぁ」 レイムス「それじゃ、私はセピア派としますよぅ」 レイムス「え、そんな適当でいいのかって? いいんですよぅ」 レイムス「だって、どちらが本物か分からないから―――推理ごっこしてるんですよねぇ?」 レイムス「フィフティフィフティなら・・・楽しい方が、いいじゃないですかぁ!」 零「よし、全員分終わったな」 零「なら―――投票を、行うぞ」 ~ 投票中 ~ 零「投票結果・・・安土小太郎、か」 美貴「5VS4・・・大接戦、だったよね」 零「まさか小太郎が処刑されるとはな、計算外だった」 零「小太郎ならもう少し粘ってくれると思っていたが、な・・・」 美貴「・・・後味悪いね」 零「もう慣れた。 ・・・消灯時間だ。美貴、お前が出たら部屋の電気を消すぞ」 美貴「そう。んじゃ、おやすみ」 零「ああ。いい夢をな」 零「・・・・・・」 零「・・・・・・」 零「・・・・・・来たか、人狼」 零「そうだな。小太郎が死んだのは惜しかった」 零「あの推理力は本当に惜しかった」 零「だが、計画に変わりは無い」 零「決着も、近い。」 零「最後に笑うのは・・・俺たち、人狼だ」 ~ 十日目 Fin ~ 投票結果 セピア 4票 小太郎 5票 死亡者 人狼:ポセイドン 投票:安土小太郎 生存者(8人) ミオ・ヘスティア・ティターン レイムス・デメテル・ティターン ミーロ・ロレンス 狩月零 村松美貴 川原結城 セピア・ネープルス 小雪 ~ おまけ ~ Dr.「おまけが本編と言ったがスマン、ありゃ嘘だった。まぁ過大広告ってことでさ、こらえてくれ!」 ポセイドン「広告詐欺であるな!」 Dr.「くっくっく、しかし次回は本当かも知れないよ!」 ポセイドン「わぁ、アイザックすごぉいである!」 水華流「バッ●ーノ・・・」 春「い・・・今起こったことをありのままに言うよ!」 春「おまけが始まったと思ったらバッ●ーノのモノマネがはじまっていた」 春「な・・・何を言ってるか分からないと思うけど、催眠術だとか超展開とかそんなチャチなものじゃない」 春「もっと恐ろしい物の片鱗を味わったよ・・・」 結火「・・・・・・モノマネが流行っているのか?」 紅「ここは私もノート片手に「計画通り」とか「くそっ、やられた!」とか言うべきところかしら?」 和「やめてくれ、もっとカオスになる」 大地「えるしっているか じんろうは リンゴはべつにたべない」 ウルカヌス「食べないのかよ! カスいな!」 大地「いや、食べるかも知れないけど」 ウルカヌス「どっちだよ!?」 和「収拾付かないのでまた明日~」 ~ おまけ Fin ~ 十一日目 『注意一秒怪我一生 Security is the greatest enemy』 +... どうか嘆かないで。 世界があなたを許さなくても、私はあなたを許します。 どうか嘆かないで。 あなたが世界を許さなくても、私はあなたを許します。 だから教えてください。 あなたはどうしたら、私を許してくれますか? Frederica Bernkastel (「ひぐらしのなく頃に 鬼隠し編」より) ミーロ「美貴さん・・・安らかに、眠っててくださいですの」 小雪「もうすぐ・・・・・・終わらせる」 レイムス「さぁ・・・人狼と、決着を付けるべき時ですぅ」 ~十一日目 『注意一秒怪我一生 Security is the greatest enemy』~ 結城「・・・よし、いいだろうか。みんな、聞いてほしい」 結城「もう、七人になった。・・・人狼の残りの数によっては、今日で全てが終わるかもしれない」 ミオ「・・・・・・人狼って、今何人いるんでしょうか?」 零「確証は得れないが、少なくとも一体は処刑できただろう」 セピア「少なくとも? それって、どういうことなんですか?」 零「Dr.が言っていただろう?」 零「人狼と俺達の数が同じになった場合はこちらが全滅させられるだろう、・・・とな」 小雪「もし・・・・・・4匹なら・・・昨日・・・・・・で、終わって・・・いた?」 結城「なるほど、確かに処刑した時点で8人だったからな・・・」 ミオ「そういえばセピアさん、小太郎さんの霊媒結果はどうでした?」 セピア「はい、・・・人狼でした」 レイムス「セピアの霊媒結果が本当なら・・・人狼は確か残り一匹、ですよぅ?」 ミーロ「たしか・・・ウェヌスさま、ナイーガさまが人狼判定・・・でしたの」 結城「・・・すると人狼は残り一匹。なるほど、今日で終われるかもしれないな」 ミオ「・・・・・・やっと、終われるんですね」 零「ああ。・・・・・・たった十日ほどだったが・・・長かった」 小雪「気を抜く・・・のは・・・・・・まだ・・・早い」 レイムス「小雪の言う通りですよぅ? 大逆転!となったら悲惨交々ですぅ」 結城「それにしても本当、いろいろあった」 結城「占い師。霊媒師。共有者。妖狐。・・・そして、人狼」 結城「これらを交えた推理ゲーム・・・なかなか、斬新だったよな」 ミオ「・・・人の命を賭けるという点では、斬新でしたね」 零「人狼を作ったのはDr.だったな、そういう面では実にDr.らしい悪趣味なゲームだ」 小雪「・・・・・・それとも・・・狙っていたかも・・・・・・知れない」 小雪「Dr.は・・・こうなることを・・・・・・予想してた・・・かも」 セピア「・・・・・・あり得ない話・・・では、ありませんね」 ミーロ「・・・・・・」 結城「どうしたんだミーロ、黙りこんで?」 ミーロ「気になる点が、一つありますの」 零「気になる点?」 ミーロ「占い師、霊媒師、共有者、妖狐、人狼・・・」 ミーロ「・・・ひとつ、足りませんの」 ミオ「そういえば・・・・・・足りませんね」 結城「・・・そういえば、あったな」 小雪「・・・・・・・・・狩人。」 レイムス「そういえば・・・一度も、出てきていないですねぇ」 零「何言ってる、出てきただろう」 零「南風原春。あれを喰おうとした時、邪魔されたんじゃなかったのか」 結城「・・・零、ついにボケたか?」 結城「南風原春は妖狐だ。・・・狼には、喰われない」 零「ん、ああ。・・・そういえばそうだった。うっかり勘違いしていた」 零「悪い。春のところに行ったのは俺じゃない奴だったからな・・・」 ミオ「・・・・・・っ!」 ミーロ「今の・・・発言・・・」 セピア「・・・それ・・・・・・って・・・!?」 零「ん? ・・・・・・ああ。」 零「ちっ、まずったか・・・」 零「まぁいい、言い訳など無意味だろうしな。 ・・・俺が人狼だ。」 小雪「・・・・・・人・・・狼・・・・・・ッ!!」 結城「・・・最後の最後で、油断したな・・・・・・!」 零「・・・・・・やれやれ、これでゲームオーバーか」 零「ゲームオーバーついでに一つ教えてやる。・・・人狼は、残るところ俺一人だ」 レイムス「それは・・・安心、ってところですねぇ!」 結城「・・・・・・人狼、情けをかけてやる」 結城「お前を処刑するのは、投票してからだ」 結城「皆の怒りを一心に、その身に受けてこの世から消えろ・・・!」 零「いいだろう。・・・さて、俺は誰に投票するか」 零「よし、俺はミーロ・ロレンスにでも投票するぜ―――」 ~ 投票中 ~ ミーロ「あ、・・・あ、ひぃぃ、ぁ、ああああああっ・・・!」 零「・・・愉快だな、じゃあ、何が起きたか教えてやる」 零「投票結果。狩月零3票。ミーロ・ロレンス4票。」 零「確かにゲームオーバーだ。・・・お前たちのな」 ミーロ「そ、そんな・・・どうして、そんなに・・・・・・!」 零「さぁな。だが、一ついいことを教えてやる」 零「セピア・ネープルスも人狼だ」 ミーロ「だ・・・だって、あなたは・・・・・・さっき、人狼は残るところ一人、って・・・!」 零「ん? ああ、嘘だ」 零「狼少年って知ってるか? 嘘ばっかりの話だぜ?」 零「まぁ・・・・・・狼少年は人間だがな、ははははははは!」 零「・・・・・・さて、始めようか」 零「処刑、をな・・・!」 零「俺たちの腹の中で、ゆっくり推理して来いよ―――!!」 ~ 十一日目 Fin ~ 投票結果 狩月零 3票 ミーロ 4票 死亡者 人狼:村松美貴 人狼:人間 人狼:人間 人狼:人間 生存者(4人) 人狼 人狼 人狼 狂人 ~ おまけ ~ 零「まさか人間敗北ENDとは思わなかったぞ」 水華流「人狼!? きゃあああっ! えんがちょ!えんがちょ!」 零「一応、設定的には人狼に喰われたことになってるんだからな、俺は」 零「今、「え、そうなの?」って言った奴、一日目見てこい。」 レイムス「メタいですぅー」 和「そっち見んな。」 春「それにしても、みんな死んじゃったんでしょ?」 春「次回予告によればまだあるらしいけど、誰がいるのかな?」 暁「ああ、それはねー」 暁「こういうゲームではバランスブレイカーになっちゃう、あの人だよ」 大地「あの人?」 結火「私とかな」 紅「あえて言いましょう。 ・・・・・・ないわー」 結火「燃やすぞ、そこのババァ」 紅「若いからって調子に乗らない事よ? そもそもまだ若いわよ私は?」 ハゼルラ「でも二人とも美容品とかガンガン使って・・・」 結火 紅「燃えろ(なさい)っっ!!!」 ハゼルラ「ぎゃあああああああああああああああああっっ!!」 小雪「・・・・・・南無」 ハゼルラ「だ、誰か助け・・・げほぅ!」 小太郎「・・・口は災いのもと、だな」 ウェヌス「・・・・・・(こくこく)」 ミオ「・・・さて、「汝は人狼なりや?」の本編はこれで終わり、次回は蛇足となる解答編です」 ミオ「あなたの推理は本当に正しかったのか?」 ミオ「ぜひ、今からでも「誰が人狼で狂人だったのか?」を推理して見てください。」 ミオ「そうすることで、解答編はより一層楽しめると思います。」 ミオ「それでは・・・」 アレス「・・・・・・また次回也!」 ハルチェ「よりによって〆がアレスか!最悪だ!」 ~ おまけ Fin ~
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敵スケアクロウ メガ・スケアクロウ フロスト アサルト ブリッツ グラディウス カットラス バジリスク キメラシード キメラ メフィスト ファウスト ビアンコアンジェロ アルトアンジェロ フォルト 敵 スケアクロウ 魔界で生まれた甲虫の一種が群れをなして布人形の袋に入り込んだもの。 知能は低いが、あたかも一つの生命体のように布袋を操っている。 メガ・スケアクロウ 大量の甲虫が入り込みすぎたせいで巨大体に膨れ上がったスケアクロウ。 他の個体と一線を画するパワーを持っている。 常に背中を向けているのだが、布袋の中に入り込んだ際前後を間違えてしまったからのようだ。 フロスト かつて魔界の帝王が人間侵攻のために作り出した精鋭。 氷を操る能力を持ち、様々な局面に対応できる万能型の悪魔。 氷に身を包んだ状態になると体力を回復してしまうため、素早く氷を打ち砕くことで回復を阻止する必要がある。 アサルト かつて魔界の帝王が作り出した精鋭で、暴風を操る能力を持つ強襲型の悪魔。 鋭い爪で地中に潜るなど、多彩な攻撃方法を持つ。 装備している楯で攻撃を防ぐ事もあるが、この楯さえ壊してしまえば防御は不可能だ。 ブリッツ かつて魔界の帝王が作り出した精鋭で、電撃を操る能力を持つ急襲型の悪魔。 視力が無く獲物の動きや音を察知して行動することが多い。 そのため、他種の悪魔を攻撃してしまう事もあるが、攻撃そのものが激しい為巻き込まれないように注意が必要。 グラディウス アグナスが創造した人工悪魔。 ハ虫類と魔力を有した剣とを交配させており、体を剣に変形させることが可能。 それを利用して、他の敵に投げつければ大ダメージを与えることが出来る。 カットラス 魔剣教団のアグナスが魚類と魔力を有した剣を交配させ創造した人工悪魔。 背びれが鋭い刃状になっており、地中や壁面に体を潜り込ませる能力を持つ。 死角からの突然の攻撃には警戒が必要。 バジリスク 魔剣教団のアグナスが猟犬と魔力を有した銃を交配させて創造した人工悪魔。 頭部が炎で構成されており、弾丸のように発射する事が出来る。 失われた頭部は、すぐに再生させられる。 キメラシード 魔界の樹から生み出された種子。 それ自体も知能と意思を持ち、生み出された後寄生する主を捜し求めて歩き回る。 キメラ 他種の悪魔にキメラシードが取り付き発芽したもの。取り付かれた悪魔自身はその事に気づかずに、普通に行動してくる。 キメラシードも同時に攻撃してくるので銃器でキメラシードを弱らせてから宿主を倒すと良い。 メフィスト 黒い霧状のガスを発しつつ宙を浮遊する下級悪魔。このガスの力によって物質をすり抜けることができる。 まるで無慈悲な死神を思わせる外観だが、実は本体は小さく臆病な生物。 伸縮自在の指先は刃物のように鋭く、遠距離からでも獲物を貫く事が可能な強力な武器となる。 ファウスト メフィストと近種の悪魔であるが、より知能が高く残忍な性質を持つ上級悪魔。 本体が矮小で臆病な部分は変わらないが、攻撃の激しさはメフィストとは比べ物にならない。 体を覆う黒の衣は、銃撃で効率良く破壊する事が可能。 ビアンコアンジェロ かつで「黒い天使」と呼ばれていた悪魔の破片を利用し、魔剣教団が生み出した人造兵士。 内部には人間や悪魔の魂が閉じ込められており、主からの命令を受けて機械的にそれを実行する。 アルトアンジェロ 「帰天」と呼ばれる儀式によって悪魔化した騎士が、ビアンコアンジェロの外装を鎧として着込んだもの。 ビアンコアンジェロを兵として統率する能力を持ち、周囲のアンジェロ隊の能力を向上させることが出来る。 フォルト 魔界に生息する地中生物。 魔力を嗅ぎ分けて獲物を追い、地面から唐突に現れて喰らい付く。 その体内は異空間に通じており、別の悪魔の住処となっていることが多い。
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敵 KING近衛隊員 脱走した労働力 拳王軍下っ端 GOLAN警備兵 海の男 ジードの手下 チンピラ ジャッカル略奪兵 ジードの女 ジェラ ジャッカルの女 ジル 名前 コメント